おいしいお茶の入れ方マナー》上手な入れ方・正しい出し方・煎茶緑茶・温度

お茶の入れ方(お茶の淹れ方)のページ。お客様にお出しするお茶には、わざわざ足を運んで来てくださったお客様に、のどの渇きを癒して頂き、くつろいで頂く、ほっとしていただくというおもてなしの心がこめられています。
また、会議や打ち合わせの時のお茶には、議論によって乾いたのどを潤す水分補給の他に、気分転換や、カフェインによって脳を活性化する意味もあります。このページでは美味しいお茶のいれ方についてご説明します。
[参考ページ]
お茶の出し方の作法

■1.お茶にこめられた「おもてなしの心」とお茶を出す意味

お客様にお出しするお茶には、わざわざ足を運んで来てくださったお客様に、のどの渇きを癒して頂き、くつろいで頂く、ほっとしていただくというおもてなしの心がこめられています。

また、会議や打ち合わせの時のお茶には、議論によって乾いたのどを潤す水分補給の他に、気分転換や、カフェインによって脳を活性化する意味もあります。

このページでは、今さら聞けないおいしいお茶の入れ方のマナーとお茶の出し方について新入社員の皆さんにもわかるように、簡単にわかりやすくご説明しています。

■2. おいしいお茶の入れ方(お茶の淹れ方)と手順

[1]お茶を入れる時に用意するもの
[2]おいしいお茶の入れ方と手順、温度、コツ
[3]お茶の保存方法

[1]お茶を入れる時に用意するもの

急須、湯呑み茶碗、茶漉し、湯冷まし、茶さじなどを用意します。
用意するもの
▼急須

[A. カゴ網タイプ]
[B.注ぎ口が   
 茶漉しのタイプ]

●急須には、大きく分けると右図のように2つのタイプがあります。
Aのように、カゴ状の網の中に茶葉を入れて湯に付けるドブ漬け抽出タイプのものと、Bのように、注ぎ口の付け根に茶漉しがついているタイプがあります。

●Aのタイプは、カゴの取り外しができ、洗いやすくて手入れは楽ですが、湯の量 が少ないと、茶葉が完全に湯に浸りません。
筆者の経験では、本当においしい緑茶を入れたい時には向かないと思います。また、少人数の時にはむしろ使いづらいものです。
湯量が多い時ならAのタイプの急須でも大丈夫ですので、人数が多い「会議でのお茶だし」や、「昼食時」などには使用しても良いでしょう。また、使用するお茶の葉の種類を選ぶとすれば、番茶やほうじ茶などに向いています。

●Bのタイプは、急須とは別に、手で持つタイプの茶漉しが必要となりますが、少ない湯量 でもおいしいお茶を入れることができます。
(なお、Bタイプのものでも、細かいメッシュが付けられているものも市販されています。)
▼茶漉し
●急須からお湯呑みにお茶を注ぐ時に、茶葉が入らないように茶漉しを用います。
▼湯呑み (湯飲み茶碗)

▼茶托
[湯呑み、湯飲み茶碗]

●来客にお出しするときは、お湯飲み(湯呑み)を茶托に乗せてお出しします。

●湯飲み茶碗の形状には、縦長のタイプと、扁平なタイプとあります。一般 的に、扁平なタイプは、来客用に用いられます。また、縦長のタイプは、自宅用であったり、職場でも自分用のマイ湯呑みであったりします。
ただし、蓋付きの場合には、縦長のものでも来客用に用いられることがあります。

●蓋付きの湯呑みは、お茶が冷めないようにしたり、ほこりが入らないようにしたりする目的で用いられます。主として煎茶に用います。

●業務用の湯呑みは、お盆に一度に沢山乗せて運べるように縦長のタイプも多く用いられます。


[茶托]

●茶道で抹茶を飲む時には茶托は用いませんが、通 常、来客時にお客様をおもてなしするときには、必ず茶托を用います。
茶托は塗り物であったり、金属製であったり様々ですが、それぞれ素材や大きさや品物の格が異なりますので、筆者はそれぞれ湯呑みの大きさや品物の格とがつり合うようにコーディネイトすることをおすすめします。もちろん、色や、季節感も合わせればさらに上級なおもてなしとなります。
湯冷まし につづく
用意するもの つづき
▼湯ざまし
●良いお茶や、煎茶を入れるときには、お湯の温度は熱すぎない方がおいしいお茶を入れることができます。
お湯を、一旦湯冷ましに入れ、お湯の温度を一旦少し下げます。

●「湯冷まし」という茶器が無い場合には、人数分の湯呑みに一旦お湯を入れ、湯呑みから急須に湯を入れます。
やけどに十分注意して下さい。
▼茶さじ 、茶箕(ちゃみ)、茶合(さごう、ちゃごう)
●茶葉の量を量る時に用いるさじ状の道具のことです。呼び方はいろいろあります。

●お茶の葉は多めに入れ、その茶葉が一番おいしい浸出時間の癖を知るのがコツです。

[2]おいしいお茶を入れる手順、温度、コツ

お茶をおいしく入れるためには、温度が非常に重要です。
下記に手順をご紹介します。
おいしいお茶をいれる手順
手順上手なお茶の入れ方、淹れ方の説明
▼お湯を適温にする
●お茶を入れる水は、軟水が適しています。
外国産のミネラルウォーターを使うよりも、水道水を沸騰させて塩素を飛ばしたものが良いでしょう。

●来客には、煎茶を出すのが一般的です。煎茶は、沸騰したお湯をそのまま使うよりも少し温度が低い方が美味しくいれられます。

●お茶の旨味成分テアニンは、低い温度(50度以上)で抽出されますが、湯温が高くなると、渋みも出てしまいます。紅茶、ほうじ茶などは高い温度で入れますが、玉露は50〜60度。煎茶も良いお茶ほど、低い温度で抽出します(70〜90度の間で、適温は葉の種類により異なります。高級なものほど、適温は低いそうです)。
おいしいお茶を入れるためには、そのお茶の適温を知ることが大切です。
お茶の種類と適温について
(温度は摂氏。下記は文字化けしないように「度」と漢字で表記します)
茶の種類/温度50度60度70度80度90度100度
▼ほうじ茶
▼紅茶          
▼煎茶        
▼玉露          
●沸騰したお湯を湯冷ましに入れて1〜2分さまします。 湯ざましというものが無い場合は、人数分の湯呑み茶碗に湯を注ぎます。この場合は注ぎ入れるだけで時間をおく必要はありません。

[マメ知識]緑茶、煎茶
●茶葉を摘み取ったあとで発酵させたものは紅茶となりますが、摘み取った直後に発酵を止めると緑茶となります。緑茶は、お茶の新芽が出てから摘み取りまでの時期や育て方により、名称が異なります。
新芽が出始める4月初旬から5月頃まで(お茶の産地ごとに、更にその年の気候によって時期が異なります)に摘み取られるものが新茶とされます。そのあと摘み取られるものは煎茶ですが、摘み取りまでずっと太陽の光を浴びて育つものが煎茶で、新芽の頃から(または摘み取りの3週間ほど前から)日光を遮って栽培したものが玉 露となります。
抹茶は緑茶の一種である碾茶(てんちゃ=玉露のように日光を遮って収穫した葉を蒸して碾茶専用の炉で乾燥したもの)を粉に挽いたものです。
 
おいしいお茶をいれる手順 つづき
▼茶葉を量る・お茶の葉の分量

●湯呑みの大きさによって、1人分のお茶の葉の量 が異なります。

●右の画像でご紹介しているような来客用の平たい湯呑み茶碗なら、1人分が2.5〜3g。
一人当りの分量は茶さじ1杯くらいがめやすです。

●自宅用やデスクで飲むときに用いられるような、たっぷり入る縦長のタイプの「マイ湯呑み」なら、湯の量 が多くなるため、2〜3倍の茶葉を量ります。
 
▼お茶の葉を急須に入れ、湯を注ぐ
●急須に茶葉を入れ、湯冷ましから湯を注ぎ入れます。落ちる湯が細長い棒状になるようにゆっくり注ぎ入れるとおいしくなります。

●湯呑みに入れていた場合は、1つずつ急須に注ぎ入れます。
 
▼茶漉しを使いながら湯呑み茶碗に注ぐ
●急須に湯を入れてから30秒〜2分待って、 茶漉しを使い、湯呑み茶碗に茶を注ぎ入れます。(30秒というのは安いお茶。2分は高いお茶です。)

●二人分以上を一度に入れるときは、お茶の色が、どの湯呑みも均一になるように(お茶の色がどの湯呑みも同じくらいの濃さになるように)、 少し注いではとなりの湯呑み、また少し注いで次の湯のみへと注ぎます。何回かに分けて順番に入れていきます。

● 最後の一滴まで湯呑みに注ぎ入れてください。

★ポイント…茶の量は湯呑みの7分目くらいまでに。あまりにも多く注ぐよりも、控えめの方が上品です。
 
▼人数が多い時は二煎めを
●沢山の人数の分のお茶を入れる時(急須の大きさに比較して湯呑みの数が多い時)は、 「二煎(にせん)め」と言って、お茶の葉を変えずにもう一度抽出します。

● 二煎目は、一煎めを最後の一滴まで湯呑みに注ぎ入れたあと、温度が高いままの湯をそのまま急須に入れます。苦味が出過ぎないよう、時間をおかずに湯呑みに注ぎ入れます。
 
つづく
おいしいお茶をいれる手順 つづき
▼茶托に置く
● 湯呑みの底などを、清潔な布巾でふき、茶托に置きます(湯呑みの底は糸底などと呼びます)。湯呑みが濡れていると、お客様の手がぬ れたり、茶托にくっついてとりにくくなったりします。必ずチェックしてください。

●下記の画像をご覧ください。湯飲み茶碗には、正面が決まっているものと、向きが関係ないものがあります。見本のようにお客様から見て、絵柄が正面に来るように出します。

・模様のないもの
・模様が全体にあるもの
・一ケ所に絵柄があるもの・内側の一ケ所に絵柄があるもの
特に正面 は無い。どんな向きで出してもOK絵柄がお客様の方から見て正面 になるように出す絵柄がお客様の方を向くように出す


●会議などで、沢山のお茶を出す時は、お盆にお湯呑みを並べ、お盆の空きスペースに茶托だけを重ねた状態で会議室まで運びます。会議室に入ってから、湯呑みの底を清潔なふきんでふき、茶托に置きながらお茶を出します。
こうすると運搬中に万一お茶が少しこぼれてもお茶を出す直前に拭き取ることができ、塗れた状態で出さずにすみますし、お盆に乗せる際も、一度に沢山乗せられます。

[3]お茶の保存方法

下記は筆者が静岡県のお茶屋さんに実際にお邪魔して教えて頂いたお茶の保存方法です。
お茶の保存方法
▼お茶はデリケート
●お茶は、においも移りやすく、湿気を吸いやすく、開封した瞬間からどんどん品質が変化していきます。
開封前のお茶は冷蔵庫で保管し、開封するときに結露するのを防ぐため、半日前には冷蔵庫から出しましょう。
▼冷暗所で保存
●お茶はにおいや湿気を吸いやすいので、パックを開封したら口をしっかり閉じて冷暗所へ保存します(早めに飲みきるのであれば冷蔵庫に入れる必要はありません)。
他の容器に移す場合は、湿気やにおいを吸わないように、蓋が二重になった容器に入れる、あるいは包装を二重にするなど注意しましょう。

●もし、パックの半量だけを気密性の高い容器に移した場合、パックに残ったお茶の方は、冷蔵庫に保管しても他の食品のにおいが移りやすいので、口をしっかり閉じる、あるいは蓋が二重になった容器に入れる、包装を二重にするなど保管のしかたに注意しましょう。
▼開封後は、早めに使い切る
●なるべく少量 パックで購入し、パックを開封した際には早めに使い切るようにします。特に良いお茶ほど、早く劣化してしまうそうです。

■3.お茶の出し方についてのビジネスマナーQ&A

筆者が社員研修の指導をした際に、良くわからないという声が多かったものを挙げてみます。

[1]お茶と一緒にお菓子をお出しするときは?

ポイント説明
▼お菓子、お茶の順に出す●お茶と一緒にお菓子を出す時は、お菓子を先に出します。
▼お菓子が左、お茶は右●お客様から見て左側にお菓子、右にお茶が来るようにします。

[2]お茶をお出ししてからだいぶ時間が経過したけど…

接客が長引きそうな時には新たに別の飲み物を出すのが普通です。
次の飲み物をお出しする際の基本的なマナーを解説します。
ポイント説明
▼頃合いを見計らって別の飲み物を出す
 ●大切なお客様であれば、一定の時間が経過した場合には、お茶→コーヒーなどのように、別の飲み物を出します。
2つめの飲み物をお出しするタイミングは、最初の飲み物をお出ししてから60分〜120分くらい経過してからです。むしろ放置されて2時間以上経つと社員教育が徹底していないという印象をあたえます。

● 例えば「2時間経ったら何も指示がなくてもコーヒーを出す」など、ある程度社内でマニュアル化しておくと良いでしょう。

●別の飲み物をお出しすることで、お客様の長居を助長してしまう面もありますので、「そのお客様と面談するおよその所要時間を、お茶出しする社員に伝えてから応接室に入室する」という会社もあります。
 
▼2品目を出す時に、1品目の飲み物の容器を下げる
 ●お茶出しの基本は、打ち合わせや面談を邪魔しないことです。何度も入室するよりも、むしろ二品目として例えばコーヒーをテーブルに出す時に入室し、湯呑みを下げなが、コーヒーをお出しするとスマートです。

●コーヒーも、お茶の時(お茶は湯呑みと茶托を別々にお盆に乗せました)と同じように、カップをお盆に並べ、ソーサーだけを重ねてお盆に乗せて持って行きます。応接室や会議室に入ってから、サイドテーブルの上で一客ずつカップをソーサーにセットし、お客様にお出しします。
 

[3]お土産に熱いもの、冷菓、生菓子を頂いた時は?

ポイント説明
▼お土産を頂いた場合、持参したお客様にお出ししない●遠方からおこしのお客様が、 お土産を持参されることがありますね。こうした場合、お土産はお客様にお出ししないのが正式なマナーです。
▼お土産に、熱いもの、冷菓、生菓子などを頂いたときは、お客様にひとことお声をおかけして、お出ししても良い●お客様が、熱いもの(冷めるとまずくなるもの)、冷菓、生菓子などをお土産に持参されることがありますね。
親しいお客様であれば、「お持たせですが、早速いただいてもよろしいでしょうか?」と声をかけ、お客様も一緒に召し上がっていただく形でお出ししても良いでしょう。