下請法》違反・下請法とは・支払期日・発注書・資本金/対象/子会社/値引き

下請法のページ。下請法とは、親事業者が下請け業者に対する優越的地位 を濫用して下請け業者に対する代金の支払いを遅らせる、あるいは下請け代金を減額する等を防止する法律です。親事業者が下請事業者に 業務の一部または全部をまかせる際に、委託者と受託者のとの間で締結する契約を業務委託契約といいますが、その際に親会社が業務を発注する際には必ず守らなくてはいけないことが法律でいくつか決められています。
………このページの内容………
1. 下請法とは?
2. 下請法が適用される取引には、どんなものがあるの?
3. 親事業者の義務
4. 親事業者の禁止行為(親事業者が禁止されている行為)
5. 下請法違反の場合の罰則など

■1.下請法とは?

下請法は、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」と言います。
親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された特別の法律です。
業務の一部または全部をまかせる際に、委託者と受託者のとの間で締結する契約を業務委託契約といいます。契約書を交わす際には、下請法を頭に入れて作成しなくてはなりません。
親事業者が下請事業者に業務を発注する際の注意点
下請法では、親事業者が下請け事業者に対して業務を発注する際には、以下のことが定められています。(下請法=下請代金支払遅延等防止法。公正取引委員会のホームページにも紹介されています)

(1)親事業者が必ず守ること=契約を書面で交わす

(2)行なってはいけないこと=代金の減額、支払い遅延、買いたたき

例えば…
・下請事業者に責任がないのに、親事業者が発注後に下請代金の額を減じることは禁止されています。
…当事者間で、協賛金、値引き、歩引き等の名目で発注後に一定金額を差し引くことで合意がなされている場合でも違反になります。
・親事業者の社内検査などの事務手続きの遅れや、下請業者から請求書が提出されていないことを理由に、支払日を遅らせることなども認められていません。
★この法律で規制される「下請け取引に該当するかどうか」は下記の早見表をご覧下さい。
(注)早見表1、2で、資本金区分が下請方に規定されたものであるかどうかをチェックしたのち、早見表3で取引内容をチェックしてください (2008年2月25日現在)
この下請法で規定される取引でない場合(例えば、下請関係にはない、通常の業務委託契約や、代理店販売の契約(代理商契約)や、地方自治体や公共団体が役務を発注する際の業務委託契約、資本金にさほど差がない企業間での契約や、対等な立場でのさまざまな契約)においても、契約書を取り交わすことは商取引の上でのトラブル防止におおいに役立ちます。
業務委託契約書については、別ページで説明しています。「…業務委託契約書>>
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■2.下請法が適用される取引とは?

★下請法が適用される取引かどうかについては「親事業者と下請業者の資本金」、「委託する業務内容」の2つによって規定されています。
また、親子会社の関係にある2つの企業間の取引きでも下請法が適用されます(ただし、親会社が子会社の議決権の50%超を所有するなど、実質的に同一会社内での取引とみられる場合は、適用されません)
【下請法についての早見表】

下請法(=下請代金支払遅延等防止法)の対象となるかどうかのチェックリスト
(早見表1)

委託者のあなたの会社の資本金は?
1千万1円以上?
 No→対象外
Yes
(委託者の資本金1千万1円以上)
3億1円以上?
 NoYes
(委託者の資本金3億1円以上)
受託者の資本金は1千万1円以上?受託者の資本金は3億1円以上?
 Yes→対象外 Yes→対象外
No(資本金1千万円以下)No(資本金3億円以下)
外注するのは下記の業務?外注するのは下記の業務?
①物品の製造
②物品の修理
③プログラムの作成
④運送・物品の倉庫保管・情報処理
①物品の製造
②物品の修理
③プログラムの作成
④運送・物品の倉庫保管・情報処理
 Yes
下請法が適用される可能性があります
 Yes
下請法が適用される可能性があります
No→対象外No→対象外
【下請法についての早見表】その2

下請法(=下請代金支払遅延等防止法)の 対象となるかどうかの チェックリスト
(早見表2)

委託者のあなたの会社が委託する業務内容は?
以下のいずれかに該当しますか?
プログラム以外の情報成果品の作成を委託しますか ?
(例えば、放送番組や広告の制作、 商品デザイン作成、製品の取扱説明書作成、設計図面の作成など)
運送・物品の倉庫保管・情報処理以外の役務の提供を委託しますか?
(例えば、ビルや機械のメンテナンス、コールセンター業務などの顧客サービス代行など)
[役務提供委託の注意点]
注)建設業法に規定されている建設業を営む者が請負う建設工事は対象外です(建設業法によって別途規定されているため)
注)委託事業者が自ら利用する役務は規制されません
 No→対象外 
YES
委託者のあなたの会社の資本金は?
1千万1円以上?5千万1円以上?
 NO→対象外YES
YES
受託者の資本金は1千万1円以上?受託者の資本金は5千万1円以上?
 YES→対象外 YES→対象外
NO(1千万円以下)NO(5千万円以下)
下請法が適用される可能性があります下請法が適用される可能性があります
●下請法が適用される場合、親事業者には、義務と禁止事項が決められています。 次項3と、次項4をご参照下さい。
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■3.親事業者に課せられる義務とは?

●下請法が適用される場合、親事業者には、義務と禁止事項が決められています。
※親事業者の義務は以下の4つです。
下請法(下請代金法)で規定される親事業者の義務
【1】発注の際は書面を作成して、その書面を直ちに下請業者に渡す必要があります。
注文書または発注書に記載する内容にも規定があります。
1.親事業者および下請事業者の名称が記載されている
2.委託をした日が記載されている
3.下請事業者の給付の内容が記載されている
4.下請事業者の給付を受領する期日が記載されている
5.下請事業者の給付を受領する場所が記載されている
6.下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、その検査を完了する日が記載されている
7.下請代金の額が記載されている
8.下請代金の支払期日が記載されている
9.手形を交付する場合は、その手形の金額と手形の満期日が記載されている
10.一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付または支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日が記載されている。
11.原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引き渡しの期日、決済期日、決済方法が記載されている
【2】支払期日
支払期日は納入された物品等の受領後60日以内で定められている
【3】遅延利息
支払期日までに下請代金が支払われなかった場合、遅延利息が支払われている
【4】書類の作成保存
取引に関する記録が書類として作成され、2年間保存されている
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■4.親事業者の禁止事項・禁止行為とは?

●下請法が適用される場合、親事業者には、義務と禁止事項が決められています。
※親事業者の禁止行為は以下の11項目です。
下請法(下請代金法)で規定される親事業者の禁止行為
【1】受領拒否
 ・下請業者に責任がないにもかかわらず、発注した物品等を受領しない
・発注の取り消し
・納期の延期
【2】下請代金の支払延期
 ・発注した物品等の受取日から60日以内で定められた支払期日までに下請代金を支払わないこと
【3】下請代金の減額
 ・下請業者に責任がないにもかかわらず、発注時に決めた下請代金を発注後に減額する
・協賛金、値引きなどの名目にかかわらずあらゆる減額行為
【4】不当返品
 ・下請業者に責任がないにもかかわらず、受領した物品等を返品する
【5】買いたたき
 ・下請代金を決める際に、通常支払われる対価に比べて著しく低い価格を親事業者が一方的に決めること
【6】購入強制、利用強制
 ・正当な理由が無いにもかかわらず、親事業者が自社製品の購入や指定するサービス等の利用を強制すること
【7】報復措置
 ・下請代金法の違反行為を所轄官庁に知らせたことを理由に、親事業者が下請事業者に対して取引の停止や減額その他不利益な扱いをすること
【8】有償支給原材料等の対価の早期決済
 ・有償で支給した原材料の代金を、下請事業者がそれを用いて製造した物品等の代金よりも早く支払わせること
【9】割引困難な手形の交付
 ・下請代金の支払に際して、一般的な金融機関で割引が困難な手形(例:繊維業は90日超、その他の業種は120日超)を交付すること
【10】不当な経済上の利益の提供要請
 ・下請業者に対して、正当な理由がないのに金銭や役務の提供をさせること
【11】不当なやりなおし、不当な給付内容の変更
 ・下請業者に対して、正当な理由がないのに事後に発注内容を変更したりやり直しをさせることにより下請事業者の利益を不当に害すること
★従来は「製造委託…物品の製造」と「修理委託…物品の修理」を委託する場合を対象としていた下請法ですが、新たに「情報成果 品作成委託」「役務提供委託」も対象となっています。
例えばソフトウェアの作成業務などについても、親会社に常駐してシステム開発業務支援にかかわる恒常的な業務委任契約を結ぶ場合には、業務の負わせ方によっては下請法の対象になる場合もありますので注意が必要です。
★公正取引委員会により、親事業者、下請事業者のそれぞれに対して、定期書面調査が行なわれています。
 違反が認められると行政指導による是正、勧告が行なわれるほか、罰金、罰則が定められています。下請法を良く理解し、健全な取引きを心掛けましょう。詳細は次項(5↓)で説明します。
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■5.下請法違反の場合の罰則など

公正取引委員会は親事業者または下請事業者に対して報告や調査をすることができます。調査の結果下請法違反が認められた場合には、下記のような罰則があります。
(平成30年4月加筆)公正取引委員会だけでなく、下記のように中小企業庁、所轄官庁においても下請法違反についての検査を行うことができます。
[報告・立入検査]
ア 公正取引委員会及び中小企業庁  
公正取引委員会および中小企業庁は、親事業者・下請事業者の双方に対し、下請取引に関する報告をさ せ、立入検査を行うことができる。
イ 下請取引に係る事業の所管官庁  
親事業者又は下請事業者の営む事業を所管する官庁も、 中小企業庁等の調査に協力するため、所管事業を営む親事業者・下請事業者の双方に対し、下請取引に関す る報告をさせ、立入検査を行うことができる。
下請法違反に関する調査と罰則のプロセス
1.基本調査・親事業者に対する書面調査
・下請事業者に対する書面調査
・下請事業者からの申し立て など
↓↓   違反が疑われる場合  ↓↓
2.下請法違反の有無の調査・検査・親事業者の調査・検査
↓↓  違反が認められた場合の罰則の例  ↓↓
3.勧告・親事業者名、違反事業の概要等の公表
・改善報告書、または改善計画書の提出
4.指導・改善報告書、または改善計画書の提出
5.その他
 ・書面の交付義務違反、書面の作成・保存義務違反、報告徴収に関する報告の拒否や虚偽の報告、立入検査の拒否・妨害・忌避などが認められた場合には、親事業者の代表者、従業員などの行為者(個人)が罰せられる他、企業(法人)も罰せられます。
( 罰金の額は平成26年現在で、50万円以下)