見積書の書き方・作り方を具体的な例で説明

見積書の作り方、見積書の書き方のページ。 見積書とは…商品やサービスの価格(代金)を前もって算出したものを見積書と言います。
利用者は購入する前に(または導入する前、利用する前に)、必要となる金額を確認した上で、納得し安心して注文することができます。
  また、見積書を見て即購入という形にならなくても、官庁や企業などが「予算」を決める際に概算の価格や対価を知る上でも見積書が役に立ちます。
 このページは見積書の書き方とポイントについて、具体的な例を示しながら説明しています。
[参考ページ]
・請求書の書き方(請求書フォーマット)>>>
・領収書の書き方(領収書フォーマット)>>>
・発注書の書き方>>>
・納品書の書き方>>>
・見積り書などを送付するときの『書類送付案内状(FAX送信書)』>>>
・提案書1(書き方)>>> ・提案書2(見本)>>>
・企画書1(目的,使い方)>>>、・企画書2(一枚タイプ見本)>>>
・企画書3(複数枚タイプ)>>>

1.見積書ってなに?見積書とは

取引先から見積書作成を依頼されたとき「どうしよう」と思ったことはありませんか?例えば「◯◯という商品を□□個注文したらいくらになりますか?」といった問い合わせに対して、料金を計算し、記載した書面を見積書といいます。
具体的には、見積書とは、商品やサービスの価格(料金)を前もって算出したもののことをさします。
ビジネス文書の一つで、この見積もり書をもとに、発注がなされ、納品書や請求書が作成されます。
さて。上で述べた「物品の売買や購入に関わるシーン」のほかに見積書が使われる例としては、企画書や提案書などを提出する際に、「そのプランを実行に移すにあたって必要な費用の目安」として見積書を添付して提出する場合があります。買い手や発注者が社内で「そのプランを実行しても良いかどうかの決裁を仰ぐための資料」には、見積書の添付は欠かせません。
このページではこうした見積もり書の作成方法や提出方法についてご説明したいと思います。
見積書の作成や提出に関しては無料の場合が大半です。
ただし、「見積の作成業務」そのものを代行する業者もおります。こうした業者に対しては図面 や、仕様書を添付した見積書の作成業務の対価としての支払いが必要となります。
最近ではウェブサイト上で、よく無料見積もりをするサービスを見かけます。必要事項を入力したりプルダウンやラジオボタンなどで選択肢から該当する項目を選んでいくだけで、すぐにその場で無料見積ができるようなホームページが増えております。こうしたプログラムは、人件費や時間の節約になるだけでなく、条件を変えて簡単にシミュレーションができるため、利用者にとっても、提供する企業にとっても非常に便利だと思います。
【はみだし知識 「見積依頼書」】
なお、仕入れ先や販売元に対して見積もり依頼をする際には、
「見積依頼書」「見積り依頼書」といった名称のものをFAXなどで送信し、仕様や数量や納期などの条件を提示して、その条件における金額を算出してもらうことになります。
この依頼文書の書式には、一般的には決まりはありませんが、以下のことを明記します。
  【見積もり依頼書に盛り込む内容、見積依頼書の書き方】
  1)依頼主(社名、担当者、連絡先)
  2)商品やサービスの仕様(品番や大きさ、色、内容など)
  3)数量
  4)受け渡し方法
  5)納品場所
  6)納期
    ※見積依頼書の作り方のページへ>>>

・「見積書」の価格・料金の決め方

さて、見積り作業をする際には、原価積み上げ方式と、業界標準方式の2タイプがあります。
原価積み上げ方式の場合の見積金額(商品の価格・料金)は、 原則として下記をもとに算出します。
(1)〜(9)の例にあなたの業種をあてはめてみてください
積み上げ方式があてはまらない例は(10)にて紹介しています。
 
価格・料金
 
原 価
利益
 ↓ 原価に含まれるもの ↓  
(1)
仕入れ値包材伝票固定経費人件費送料その他実費
利益
(2)
仕入れ値受発注・出荷システム代包材伝票固定経費人件費送料その他実費
利益
(3)
仕入れ値受発注・出荷システム代包材伝票固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(4)
製造原価受発注・出荷システム代包材伝票固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(5)
企画料製造原価受発注・出荷システム代包材伝票固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(6)
企画料特許・設計・製造設備製造原価受発注・出荷システム代包材伝票固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(7)
企画料提案料・指導料・手数料固定経費人件費送料その他実費
利益
(8)
企画料提案料・指導料・手数料固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(9)
制作費企画料提案料・指導料・手数料固定経費人件費広告宣伝費送料その他実費
利益
(10)その他の場合>>>  
▼見積もりの書き方としては、原価の中に含まれる以下の個別の項目を細かく挙げて書くことはせず、下記のトータルを原価と考えた上で、それに利益を足したものを「価格または料金」として見積もります。
A.仕入れ値
 ・小売店、インターネット上でのネットショップ、一般販売店などのうち、商品を自分で製造せずに仕入れて販売している場合には、「仕入れ値」が原価に含まれます。工業製品だけでなく、食品や農産物を仕入れて販売している場合も同様です。
B.包材
 ・商品の出荷または納品の際に使用する箱、パッケージ、袋、梱包材、緩衝剤、のし紙など、仕入れた商品に更に必要となる包装材料をさします。
C.伝票
 ・出荷伝票、納品伝票、請求書、領収書といった伝票一式をさします。伝票の印刷にかかる費用、伝票を出力する用紙なども含まれます。
D.固定経費
 ・その商品やサービスの販売にかかった経費を考慮しなくてはなりません。
・事務所家賃、店舗家賃、水道光熱費、通信費といった経費をさします。 もしウェブ上でのショップの場合には、月々のサーバー代、回線費なども考慮します。
E.人件費
 ・当該商品の販売にかかわった人の人件費×時間を考慮します。
見積を作るあなた自身の人件費だけでなく、各作業の時間人件費、営業マンの人件費、検品や商品の出荷にかかわる人の人件費も考慮します。
対面販売の場合は、接客時間は人件費として考慮しなくてはなりません。
企業と企業との取引の場合は、打合せに要した人件費も含まれます。
F.送料
 ・商品の納品のために必要な送料、宅配運賃をさします。
 配達を自ら行なう場合は自動車の償却費、ガソリン代等も含みます。
G.受発注・出荷システム代
 ・商品管理システム、受注システム、発注システム、請求書作成システム、入金管理システム、出荷伝票作成システム、納品伝票作成システムなど。
H.広告宣伝費
 ・お店や会社の宣伝にかかる費用の他、商品のカタログやパンフレットの制作にかかる費用をさします。
インターネット上での仮想店舗の制作費の一部も、広告宣伝費となります。
I.製造原価
 ・商品を自店または自社で製造して販売している場合は、「仕入れ値」に代わるものが「製造原価」です。工業製品や食品だけでなく、農産物を自ら販売している場合も同様です。
J.企画料
 ・商品のアイディアの企画、販売方法の企画、製造方法の企画、コスト削減の企画などに必要な費用を考慮します。主として人件費×時間と考えられます。
・ソフトウエアやプログラムの場合には、この部分の比重が増します。
K.特許・設計・製造設備
 ・商品を自店または自社で製造して販売している場合は、製造設備に必要な費用の償却費、設計や特許に係る費用の償却費なども考慮します。
L.提案料・指導料・手数料
 ・コンサルタント、税理士、弁護士などの場合は、こうした費用が大きな部分を占めます。
M.制作費
 ・設計事務所などでは、設計図や模型の制作費。
広告代理店などでは、広告の制作費(下請けに依頼した場合も含みます)、
システム開発の会社の場合はソフトウエアやプログラムの開発にかかった費用、
ホームページ制作会社の場合は制作費、といったものです。
取材費なども含まれます。
N.その他実費
 ・営業活動や販売・出荷にかかわる、その他の実費をさします。営業時の交通費、駐車場代なども考慮します。
・代金回収のために必要な経費も、忘れずに加算します。
・収入印紙代、税金も、漏れが無いようにしましょう。【印紙のページへ】
(10)その他の見積の書き方例
 業界、業種によっては、上記のような積み上げ方式では見積書を作成できない場合があります。
下記がその一例です。
[見積作成方法が上記とは異なる例]
 ・不動産業…礼金(手数料)は、家賃の◯◯ヶ月分、という形が多いようです。
旅行業……手数料は、宿泊料金の◯◯%、或いは旅行代金の◯◯%、という形が多いようです。
 但し、パッケージツアーや団体旅行の見積りについては、積み上げ方式を適用することができます。
建設業、土木業、造園業、管・設備工事…商品を仕入れて販売する、製品を製造して販売する、といった概念ではなく、積算によって見積を作ります。
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・利益についての考え方
(見積書の作り方と「利益」の確保)

「ビジネス」として商品やサービスを販売(提供)する以上、利益を確保しなくてはなりません。
もちろん利益が多い方が「儲かった」ということになりますが、以下のファクターについて考慮しながら、原価に上乗せする利益の金額を決めます。
1.競合
 相見積(あいみつもり/同じ物件、商品について、複数の会社から見積を取ること)を常に考慮に入れます。
極端に利益を多くすると、その商い自体が他社にとられることになります。
 
2.目標・予算
 その日、その月、その年度に、その商品や案件を販売することによって「達成したい目標金額」「あげたい売り上げ」を考慮に入れます。
場合によっては、採算割れと思われる見積を作成しなくてはならないこともあります。
 
3.相場
 ここでいう相場とは、その商品や案件の一般的な価格や料金のことをさします。その商品や案件の一般的な価格を考慮に入れて利益金額を決めます。
 
4.技術やノウハウのレベル
 その商品やサービスの提供に必要な、技術やノウハウのレベルが特に高いと判断される場合、利益は高く上乗せすることができます。
 
5.希少性
 その商品やサービスを獲得することが非常に難しい場合、
あるいは、数量が限定されている場合、
利益を高く上乗せすることができます。
 
6.戦略的値引き
 将来の利益を見越して、特別 に利益を少なくする場合があります。
 
7.日頃の付き合い
 納品先とのおつき合いの程度によっては、格安で提供することもあります。
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2.見積書を作ってみよう(見積もり書の書き方)

下記にご紹介するのは、見積書の代表的な書式です。
明細部分の計算があるので、Excelなどの表計算ソフトを使用することをおすすめします。見積書雛形をご参照下さい。

・見積書の書式・様式、見積書の雛形

下記の画像は見積書書式サンプルです。
画像の青数字をクリックすると説明にジャンプします。
※電話番号は忘れずに記載しましょう。

見積書の書式宛名通番提出日または作成日差出人または作成者表題「見積書」トータル金額納品場所納期見積有効期限No.項目明細単価数量単位金額備考補足説明
 見積りの書き方と、記載内容の説明
 1. 宛先(宛名の書き方)
「会社」対「会社」の取引の場合は、宛先を会社名にする場合が多いようです。見積書の提出先によって書き方を使い分けます。
見積もり依頼に基づいて作成する場合には、依頼者に提出先を尋ねておきましょう。
 ・会社名の場合……□□□□□株式会社御中
  
 ・社長あての場合…□□□□□株式会社
代表取締役□□□□
  
 ・担当あての場合…□□□□□株式会社
□□□支店□□□部
[役職名を書く] □□□□
(支店長代理、部長代理などの、「◯◯代理」という肩書きの時は、「代理」をはずして書くことが多い)
2. 通番
主としてデータ管理上の目的でナンバーをつけます。
成約時に請求書を発行する際の伝票番号などと関連づけることもできます。
また、電話での打ち合わせのときや、先方から成約受注の際および 先方から見積書の再発行の依頼があった場合等にも、どの見積に関する依頼なのかを特定することができて便利です。
3. 発行日または提出日
見積書の発行日または提出日は必ず記載します。
見積書の有効期限を決定する際に必要となります。
また、電話での打ち合わせのときや、先方から成約受注の際および 先方から見積書の再発行の依頼があった場合等にも、どの見積に関する依頼なのかを特定することができて便利です。
4. 提出者または作成者
提出者または作成者の氏名を記載します。
(1)「会社」対「会社」の取引の場合は、社印(社判)を押します 。
  (角印で構いません)
(2)作成者の氏名の下または右横に、作成者の印鑑を押します。
 a. 単独印の場合(
 …作成者の印鑑のみの場合は、印鑑を押す位置は下記の記載例のように
    氏名の右横でも構いません。

 b. 上司に承認印をもらう場合
…… 氏名の下の段の右端に作成者の印鑑を押します。
  (上記のレイアウト例では、作成者丸山の左に上司が承認印を連判と
  して捺印しています。 役職が上の人が左側になります。)
 ※電話番号は忘れずに記載しましょう。
・作成者の単独印の場合の記載例
)→
□□市□□◯−◯−◯
TEL. ◯◯−◯◯◯◯−◯◯◯◯
□□□□□株式会社
□□□支店□□□部
□□□課  丸山一郎(印)
5. 見積書タイトル
「御見積書」「見積書」「お見積り」「お見積書」などというタイトルが一般的です。先方の宛名よりも下の位置になるようにし、若干大きめの文字で記載します。
タイトルの下に書いてあるビジネス文章は、内容に決まりはありませんが、見積もりを依頼してくれたことへのお礼や、ぜひ前向きに購入や導入を検討して下さいといったことを書きます。
【挨拶のビジネス文章例】
「このたびはお見積もりの機会をお与え頂き、ありがとうございます。下記の通りお見積り申し上げます。ご検討のほど宜しくお願い申し上げます」
「平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。下記の通りお見積もり申し上げます。何卒宜しくお願い申し上げます」

など。書く位置は、上記の見積書見本をご参照下さい。
6. 見積金額
最も目立つ位置に、若干大きめの文字で記載します。
この金額は明細の合計と合致するように注意しましょう。
 
7. 納品場所
商品をおさめる場所のことです。
例えば「貴社指定場所」、「貴社本店倉庫内」、「貴店舗事務所内」などと記載します。
 
8. 納期
「◯年◯月◯日」というように、日付を明記する場合もありますし、
「正式受注後2週間以内」などと記載することもあります。
9. 見積有効期限
「本見積有効期限」とは、「この見積の有効期限」という意味です。
「本見積提出後2週間」などと記載します。
 
10. 明細ナンバー
商品コードなどを載せる場合もあります。
 
11. 項目
商品名や、サービスの内容などを記載します。
 
12. 単価
商品などの場合は、単価を記載することができますが、もしもサービスについての見積もりや、企画、提案など、単価を書くのが難しい場合は空欄にします。
13. 数量、14. 単位
商品などの場合は、個数を記載することができますが、もしもサービスや提案などの、数量を書くのが難しい場合は一式と記載します。
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15. 金額
単価×数量=「金額」という形で、計算した結果 を記載します。
パソコンを使用し、エクセルなどを活用すると便利です。上記の画像を参考に、テンプレートを作っておきましょう、
16. 備考
各項目ごとの補足説明のために使用する欄です。
使用例)
・ 品番や用途を記載する、
・ 1つだけ別の日に納品するものにマークをつける、など。
17. 補足説明
全体にかかわる補足説明のために使用する欄です。
使用例)
「上記は◯◯の条件でお見積りしました。◯◯が必要な場合は別途お見積りします。 」などと書きます。
※. その他
【値引きの書き方】
値引きしたことを強調して記載する場合があります。
個別の商品で値引きするのではなく、トータルの金額からガバっと引く方がインパクトがあります。また、こうした場合には、値引額を際立たせる目的で、個別の商品の価格は定価を記載する場合もあります。
値引き金額を書く場合には、上記の見積り書の書き方見本の例で言えば、4.設置料の下の段に、他の商品と同じように一段使って書きます。単価などは不要。項目と金額だけで構いません。
作成例)

「出精値引き  ▲50,000」あるいは、
「特別値引き  ▲50,000」とか、
「期間限定値引き◯◯%  ▲50,000」 などと書きます。
明細欄に値引き分を書いたら、この金額を 値引きした後の合計金額を、一番下の「合計欄」に書き込みます。
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・見積書の提出

ここまでは、見積書書き方を説明しました。
下記には、 見積書を提出する前に、しなくてはならないことを列挙してみます。
1. 上司の承認
見積書の作成自体が自動であったり、金額の設定に関する全任をまかされている場合は別ですが、会社対会社の取引の場合は、 上司の承認を得ます。
承認印を忘れずにもらいましょう。[上司の承認印
2. 提出方法の確認
大きなプロジェクトの場合は、できるだけ持参し、説明をしたり先方の感触を生で感じる機会を得ることをおすすめします。
基本的には見積書は 手渡しで提出するのが正式なビジネスマナーですが、 先方が遠方であったり、急いでいる場合には、FAXや、メールといった手段を用いることも多々あります。
持参するかどうかも含めて、提出方法については、先方に確認をするのが最良の方法だと思います。
[メールで見積を送る場合のビジネスマナー・見積メール]
メールで見積を提出する場合は添付ファイルの形で送ることになりますが、あらかじめ先方に「メールに添付ファイルをつけて送信させて頂きます」と必ず了承を得ましょう。
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・見積書の提出期限を守る

商い(商い=「あきない」)はタイミングとスピードが大事。
見積を依頼された、ということは、お客様や取引先があなたの会社やお店の商品やサービスに興味を持ってくれた、ということです。
◯月◯日までに見積を出します、と約束した場合は、その期限を厳守しましょう。
期限のない場合は、できるだけ早く提出するように心掛けましょう。
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★その他の文書例
・請求書の書き方(請求書フォーマット)>>>
・領収書の書き方(領収書フォーマット)>>>
・発注書の書き方>>>
・納品書の書き方>>>
・見積り書などを送付するときの『書類送付案内状(FAX送信書)』>>>
・提案書1(書き方)>>> ・提案書2(見本)>>>
・企画書1(目的,使い方)>>>、・企画書2(一枚タイプ見本)>>>
・企画書3(複数枚タイプ)>>>