公務員の顛末書》書き方と文例。交通事故、その他の例文

公務員の顛末書とは、公務員が業務においてミスや不始末、不祥事をおかしたり、職務の範囲内でトラブルが発生したときに、勤務先・役所に対して、問題やトラブルの一部始終を報告するための文書。あるいはトラブル報告書のことをさします。
ここでは公務員の顛末書の書き方について交通事故その他の例文・文例を紹介し、内容や書式について解説します。

1.顛末書とは? 公務員の顛末書とは?

顛末書とは

 顛末書とは、業務上でミスや不始末、不祥事、あるいはトラブルが発生したときに、勤務先に対して問題やトラブルの一部始終を報告するための文書、いわばトラブル報告書です。顛末書はビジネス文書のひとつです(読み方は「てんまつしょ」)。
  一部の職場で「顛末書」と「始末書」がほとんど区別なく使われることがありますが、これはごくまれな例であり、厳密に言うと始末書は、不始末やミスやトラブルを詫びる反省文的な色あいが濃く、顛末書は、なぜそうなったのかを報告する報告書の意味合いが濃いものになります。
そのため、顛末書という名称は基本的には会社や役所内で報告書として用います。
一方、始末書は何らかの処分(懲戒処分)を伴うような場合に、反省文として多く用いられます(例えば、懲戒、訓告、戒告その他)。
(※始末書、反省文の書き方については別ページで説明>>

公務員の顛末書とは?

 公務員が公務・業務上でミスや不始末、不祥事、あるいはトラブルが発生したときに、役所に対してトラブルやミスの一部始終を報告する書類です。具体的には、公務員(本人)自身がおかしたミスや不祥事に関するものだけでなく、部下がおこしたものや、所管する・管轄の業務内、管理するエリア内で発生したトラブルに関してもその一部始終を報告する際の文書の名称として用いられます。
 顛末書を報告書のひとつと捉えると、作成の際に最も求められるのは、客観的で公平な立場からの視点です。そのため、必ずしも事故やトラブルの当事者本人でなくとも、最も適任と思われる立場の人が作成することが大切です。
・ 何が問題で、原因は何か、どこに責任があるのか
・ どんな対策が必要か、
・ 優先順位はどうか、といった点を見極めることも必要です。
特に、原因究明と再発防止の対策書という側面は絶対に欠かせません。

公務員が顛末書を書くケースとは?

下記の(1)〜(3)のようなとき、
① いつ、どこで、どのようなことがおこったのか
② 被害や損害の程度はどのくらいか
③ 現状の対応はどうなっているか
④ 今後の対策はどうするのか
⑤ 担当者としての意見(場合によっては反省の言葉も)

などを記載して提出します。
(1)公務員(本人)自身が、ミスや不始末をおかした場合

以下の内容を書きます。
・ミスや不始末の内容と経緯の報告
・書き手である公務員自身の反省の意思を表わす内容

(2)公務員(書き手)の部下が、ミスや不始末をおかした場合
以下の内容を書きます。
・ミスや不始末の内容と経緯の報告
・当事者である部下に対して下した処分や指導の内容
・(必要があれば)書き手である公務員自身の管理不行き届きに関する反省の意思を表わす内容
(3)公務員が所管・管轄の業務内、管理するエリア内でトラブルが発生した場合
以下の内容を書きます。
・トラブルの内容と経緯の報告
※ 顛末書の書き方をもっと詳しく>>>

2.公務員の顛末書の文例①(交通事故)

顛末書は、事故やトラブルがわかったらすぐに、あるいは、対応を終えたらすぐに、なるべく早く出します。
ただし「顛末」という言葉のとおり、ある程度事態が終息してから提出するのが原則ですので、もし、何らかの継続した調査などが必要な場合には、まずは別の形での迅速な報告を心掛け、顛末書はあとにまわすことになります。いずれにしてもできるだけ早く上司に申告、報告をし、再発防止と改善に努めることが重要です。

公務員の顛末書 例文(交通事故)

・日付について[和暦か西暦か?]
公務員の顛末書に使う日付は、西暦、和暦のいずれを使うかについての明確な決まりはありません。ただし、官庁、役場、公文書などでは一般的に和暦を使う文書が多いのが現状です(2020年現在)。和暦で作成すればほぼ間違いはないでしょう。
下記の文例では一般例として和暦を用いています。
・タイトルについて
このページでは顛末書としていますが、役所において所属長(上司)が市町や町長あてに職員(部下)が起こした交通事故の報告を出す書面の様式として「職員の交通事故報告書」といったタイトルで作成することもあります。

令和◯◯年◯◯月◯◯日
◯◯◯長 ◯◯◯◯様
所属長  職 
氏 名 
顛末書
このたび職員による交通事故が発生いたしました。下記の通り事故の内容が判明し、事故後の対応、再発防止のための対策を講じることができましたのでご報告申し上げます。
1. 事故発生日時:令和◯年◯月◯日 ◯時◯◯分頃
2. 事故発生場所:◯◯市◯◯町◯◯付近
3. 事故内容:職員による接触事故
(1)事故の程度:相手方が軽傷
(2)違反の態様:法令違反は無し
4. 当事者氏名:
(1)事故を起こした職員の職・氏名 /◯◯◯◯ ◯◯◯◯
(2)相手方の氏名 ◯◯◯◯
  (相手方の住所、年齢等)
5. 事故の発生状況
(1)事故の状況:
事故発生場所は、進行方向の左側のみに歩道のある片側一車線ずつの一般道路。発生時には職員は◯◯から役所に戻る途上であった。
信号のある交差点に近づいたところ、横断歩道の手前約20mのところで、左側手前から右側奥に向かって斜めに横断しようとした歩行者と接触したことによる事故が発生した。
(2)原因
歩行者は、横断歩道ではなく、その手前約20mのところで左側手前から右奥へと斜めに横断しようとし、その際、後方を良く確認しなかった。
また、被害者は高齢者であり、車の走行音が良く聞こえなかったとのこと。
(3)当日の状況
交通量はごく少ない一般道。交差点が近づき、職員は減速をしていた。
天候は曇り。ライトは点灯していなかった。
(4)直後の状況
歩行者と接触後、すぐに車を停止し被害者に声掛けした。意識がなく、救急車を呼んだ。警察にも職員自身が通報し、取り調べに積極的に協力した。
6. 事故の処理状況
(1)被害者の状況
被害者の治療を担当した◯◯病院◯◯科◯◯◯◯医師によると、被害者は事故当時ショックにより気絶していたが、救急搬送後、意識を取り戻した。記憶障害、意識障害等の異常は見受けられず、外傷は擦り傷程度であった。高齢ということもあり、念の為にレントゲン、脳のCT等、必要と思われる検査をすべて行い、所見なしとのこと。大事を取って一日入院してもらった。
(2)その他
事故の翌日に、職員とともに病院に見舞いに伺い謝罪した上で、退院後に改めて職員とともに被害者の自宅に謝罪に伺った。
7. 所属長所見
職員に過去の法令違反は無し(交通違反含む)。勤務態度は良好である。被害者自身も、後方の安全確認を怠ったことを認めており、怪我の程度も軽いことから穏便な解決を望んでおり、職員は心から反省の意を表している。
8. 職員の懲戒処分等
本件事故に関しては被害者自身が安全確認を怠った過失を認めている一方で、軽度ではあるが被害者に人的損害が発生していることから「戒告」処分が相応しいと考える
9.今後について
安全運転管理者による管理を見直し、各自の安全運転を再徹底し、運転時においては早めの点灯を呼びかけほか、定期的に警視庁の安全運転講習の受講を推奨したい。
10.その他資料等
(ここでは省略しますが、必要に応じて以下のような資料を添付します。
例:職員本人の申し立てや反省文、被害者の意見、関係する法令、警察の調査結果、医師の診断書など)

・上記は上司が部下の事故について書く顛末書を想定していますが、事故当事者本人が書く場合にも、上記の例文の項目のような順番で書けば大丈夫です。
・交通違反の顛末書を書く場合には、「事故の発生日時・場所」「事故の発生状況」や「事故内容」などの箇所を「交通違反の発生状況」「交通違反の内容」などとして作成してください。
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3.公務員の顛末書の文例②(業務上のミスや不始末)

公務員自身が業務上でミスや不始末をおこした場合の顛末書の文例です。
ここでは利害関係者との交際についての例文を取り上げます。

公務員の顛末書 例文(業務上のミスや不始末)

下記は、公務員が顛末書を書くことになった事例として、古くからの友人と一緒にゴルフをし、そのあとで利害関係がある可能性を知ったという内容を取り上げます。
↓(下記の例文中で「ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。」という謝罪の言葉は、書き手の立場によっては不要です。その場合は削除してください。)
令和◯◯年◯◯月◯◯日
◯◯◯長 ◯◯◯◯様
所属長  職 
氏 名 
顛末書
このたび私こと◯◯◯◯が株式会社◯◯◯の社員が同行する旅行に参加した件に関しまして、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。一連の経緯と再発防止のための対策につきまして下記のとおりご報告申し上げます。
1. 旅行日:令和◯年◯月◯日〜◯月◯日(◯泊)
2. 宿泊場所:◯◯市◯◯町◯◯◯◯ホテル

3. 問題となる内容:
  参加者の一人について、現在の勤務先である◯◯建設株式会社は、
  利害関係のある相手先であり、公務員倫理規程違反になる可能性がある。

4. 当事者の氏名等:
(1)利害関係のある社員の職・氏名 /◯◯◯◯ ◯◯◯◯
(2)当該社員の職務内容
   ◯月◯日(旅行日)時点では子会社の株式会社◯◯◯◯に勤務。
   ◯月◯日付けで親会社の◯◯建設株式会社に異動(出向)。
5. 経緯
(1)参加理由:
今回の旅行は学生時代のラグビー部のチームメイトによる年一度の恒例の旅行であった。参加者は全員古くからの友人であり、私人の立場での参加は問題ないと判断していた。また、友人の一人が◯◯建設(株)の子会社に勤務していることは承知していたが、古くからの友人との私的な付き合いであり、職種も担当も無関係であることから問題ないと考えていた。
(2)問題となった内容
当該友人は旅行の時点では子会社に勤めていたが、旅行後の◯月◯日付けで親会社である◯◯◯建設(株)の営業部に異動。旅行参加の時点ではすでに異動の内示が出ており、友人自身は異動を承知していたため、利害関係のある相手との旅行の可能性が外部より指摘された。
6. 問題の処理状況
(1)外部への説明
外部には下記の点を説明し了承を得た。
① 当該友人の現在の勤務先は確かに利害関係者に該当するが、旅行時点では利害関係がなかった。
② 本件は、学生時代からの友人同士がたまたま利害関係者になったという場合であり、古くからの付き合いがある相手と友人としての枠を超えない範囲で「私的な付き合い」を続けることについては現在においても禁止されていない。
③ 小職自身は友人の異動の件を一切知らなかった。
(2)対応等
当該友人の異動(出向)の知らせを受けたその日に上司の◯◯課長に報告し、念の為小職は◯◯◯建設関係の担当からはずれた。
7. 懲戒処分等
本件に関しては上記の事情に鑑み、処分なしと決定された。
8.今後について
友人との交流は継続するが、あくまでも友人としての枠を超えない私的な付き合いとし、節度あるものとする。また、当該友人の出向中は二人だけで会うことを避ける。
………参考ページ………
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◇ 始末書の書き方>>>
◇ 反省文の書き方>>>(反省文の用紙封筒