誰でもわかる御霊前の書き方(1)常識とマナーを解説

通夜や葬儀、告別式(葬式)に香典を持参する際には、喪主・喪家の宗教に合わせて不祝儀用の熨斗袋の表書きを書くのが正式なマナーです。
ただし、「御霊前」という表書きは宗教を問わず、比較的どの宗教にも使えるため、突然の通夜や葬儀で喪主・喪家の宗教がわからない場合にも用いることができます。
このページでは御霊前の常識とマナーについてご紹介します。
※なお香典返しについては、こちらで詳しくご説明しています。>>>

1.香典と御霊前について

 香典とは、線香・抹香や花の代わりに死者の霊前に供えるものですが、急なご不幸による出費に対する助け合いの意味もあります。
 御霊前とは、通夜、葬儀の際に参列者が持参する香典および、供物の表書きに用いられる語です。詳しくはこのページの下の法でご説明いたします。
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香典の表書きと御霊前(ごれいぜん)

●御香典は、通夜または葬式(葬儀)、告別式のいずれかに持参します。
その際、お香典を入れる熨斗袋の表書きの一つとして使われるのが「御霊前」「ご霊前」です。
●正式には、表書きだけでなく、のし袋そのものも宗教によって異なるため、喪主・喪家の宗教に合わせた袋を用意し、宗教に合わせた表書きを記さなくてはなりません(例えば蓮の花の絵が入っている熨斗袋は仏教にしか使えません)。
こうした場合に役立つのが「御霊前」という表書きです。もし先方の宗教がわからない場合には「御霊前」と書いたものであれば、たいていの宗教に用いることができます。香典(現金)だけでなく、御供物にも使うことができます。
※注意
浄土真宗に関しては、「御霊前」の表記は使えません。通夜、葬儀とも「御仏前」となります …(通夜や葬儀に参列する際には、前提としては先方の宗教を確認しなくてはならないのですが、急な訃報や、やむを得ない理由で宗教を確認できない場合、表書きを「御霊前」とした香典を持参しても許されるという解釈もあります)
●また、御霊前は、通夜・葬儀(告別式を含む)のいずれでも使えます。
「御佛前」「御仏前」「ご仏前」という香典表書きは、一般的には四十九日の法要以後に使います。

2.死亡の連絡がきたら(訃報を受けたら)

故人や遺族とのおつきあいの深さにより弔問の時期や方法が違います。
親しい友人や近い親戚の場合はできるだけ早くかけつけます。一般的な友人、知人、会社間系の場合は、通夜以降に弔問する方が良いでしょう。
連絡を受けたら、お悔やみを述べるとともに、通夜、告別式の日時、場所、宗教を確認することを忘れないで下さい。
香典は通夜または葬儀のどちらかに持参します。もし通夜のときに香典を持参した場合には、葬儀では記帳のみを行います。
葬儀またはお通夜のいずれにも参列できない場合や、勤務先など仕事関係者は弔電を打ちます。弔電を打つ場合の宛先は、喪主または「故○○○○様ご遺族様」となります。
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すぐに駆けつける場合のマナー

ポイント備考
●死亡の連絡を受けたら、
 ・血縁関係の近い親族
 ・特に親しい友人、
 ・交流の深かった知人
の場合には、通夜の前にできるだけすぐに弔問に駆け付けるのがマナーです。
 ・会社関係者
 ・一般的な知人や友人
の場合には、むしろ準備が整った後、通夜の席に弔問する方がよいでしょう。
●派手な服装でなければ、地味めの普段着やそのままの服装でかまいません。
●すぐに駆けつけるので香典などは持参しません。
●親しい友人や知人であれば「何かお手いできることはありませんか」と申し出てもよいでしょう。
●長居はしないようにし、お悔やみを述べたら、あらためて出直すことを伝えて帰るようにします。
◎一般的には玄関先でお悔やみの言葉を述べてすぐに失礼するようにします。
◎ ご遺族への挨拶の例
「このたびは突然のことで本当に大変でした」
「このたびは本当に突然のことでお悔やみを申し上げます」など。
◎遺族にすすめられたら上がってお線香をあげる。
◎故人との対面をすすめられた場合、「お別れをさせていただきます」などと答えます。基本的には断らないのがマナーです。
顔にかけた白布は遺族がはずすので、勝手にとらないようにしましょう。
遺族が白布をはずしたら故人に向かって手を合わせ冥福を祈ります。

通夜に伺う場合のマナー

ポイント備考
●通知を受ける時には、通夜の日時、会場および告別式の日時、会場を必ず確認します。宗教も忘れずに尋ねておきます。
●香典は通夜または葬儀のいずれかに持参します。宗教によって不祝儀袋の表書きが違うので注意しましょう。
どの宗教でも使えるのは「御霊前」です 。
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●通夜の開始10分前には式場に行くのが礼儀です。
【通夜 のページへ】
◎「通夜」という名称が使われるのは仏教だけではありません。
◎神式では「通夜祭」と、続いて 行われる「遷霊祭」という儀式があります。
◎キリスト教でも通夜の儀式があります。

通夜または葬儀に参列できないときは

ポイント備考
●通夜またはお葬式・葬儀に出席できない時には弔電をうちます。通夜または葬式の香典は別途現金書留などで送るようにします。
●弔電 (お悔やみ電報)の宛先は喪主(もしくは「故◯◯◯◯様ご遺族様」)あてになります。宛先の名前はフルネームにします。
 NTTの電報は115。
【弔電の文例ページへ】
●式場が寺や斎場の場合は、弔電の宛先住所もそちらあてに送ります。
●香典はお悔やみの手紙を添えて、なるべく早く現金書留などで送ります。
【香典を送る・郵送時のお香典の入れ方】
現金を香典袋に入れ、表書きを通常の不祝儀袋と同様に書きます(例えば上段を御霊前、下段を佐藤一男)。そのまま現金書留の専用封筒に入れます。便箋にお悔やみの手紙を書き、これも現金書留の封筒に入れ、郵便局の窓口などから送ります。
【遺族への手紙の書き方文例(お悔やみの文面)】
「突然の訃報に驚いております。遠方のためご葬儀に参列できず申し訳ございません。
ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますと共に、私も遥かな地より故人の御冥福をお祈りしたいと存じます。」など)
◎弔電(電報)は文例もありますが、自分で考える時は、忌み言葉(=不幸が重なることを意味するといわれてさける言葉…かさねがさね、重ねる、くれぐれ、また、次々など)を使わぬ ように注意します。
 なお、弔電は友引でも送ってかまいません。
【弔電の文例ページへ】
●お通夜(お通や)についての服装やマナーはこちらのページで紹介しています。
【通夜のページへ】
●弔電のお返し……弔電のみを頂いた場合には、お返しは必要ありませんが、お礼の手紙(お礼状)を出します。
【会葬礼状・香典礼状…葬儀のお礼状へ】

3.御霊前を持参する時のマナー(香典のポイント)

不祝儀の表書きの書き方は宗教によって変わるので最も難しいといえます。
どうしても葬儀や通夜に出席できずに郵送で贈る場合は、弔電を打ち、現金書留で香典を送ります。必ずお悔やみの言葉を書いた手紙を添えましょう(香典郵送のしかたは、上の項でご説明しています)。
◎のし袋の下段には会葬者のフルネームを書きます。
◎ ご夫婦で会葬する場合、夫の氏名だけでも良いのですが、故人とご縁が深かった場合には連名で出します。
◎夫の出張などで、妻が代理で会葬する場合には、 山本一郎内のように、
「内」を小さく書き添えます。会葬者名簿にも同じように書きます。
◎会社などで、上司の代理で会葬する場合には、山本一郎代のように、
「代」を小さく書き添えます。会葬者名簿にも同じように書きます。
もし上司の名刺を預かっていれば、その名刺の右上に「弔」と記し、左端か下隅に「上司の代わりにご会葬をさせて頂きます。鈴木花子」と小さく書き添えて受付に渡しましょう。
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宗教がわからないときの香典の書き方

香典の書き方とポイント備考
●香典は、通夜または葬儀(告別式)のいずれかに持参します。
●先方の宗教に合わせて香典袋の表書きを書きます。先方の宗教がわからないときに、どんな宗教でも使え、通夜でも葬儀でも使える表書きは「御霊前」です。
【御霊前】表書きの書き方

御霊前

●市販の不祝儀袋に薄墨で表書きを書きます。おつき合い上、今後また使うこともあるかと思いますし、薄墨専用の筆ペンも市販されていますので一本常備しておくと良いでしょう。
◎上記は「御霊前」の香典袋への書き方例です。水引きは白黒、双銀などの結び切りのものを用います。
◎下段には、会葬者のフルネームを書きます。
●不祝儀袋に入れるお金は新札は使わないという習慣が古くからあります。
現代ではこだわらないという考え方もありますが、ご遺族の中には年輩の方もいらっしゃいますので旧習に従ったほうが無難でしょう。
新札しか持ち合わせがないときには軽く折り目をつけてから香典袋にいれます。
なお、あまりにもくしゃくしゃのしわしわのお札を用いるのはむしろ失礼にあたります。
●香典(御霊前その他)の熨斗袋の包み方、お金の入れ方やお金の包み方、お札の入れ方、お札の向き、中包みの漢数字での金額の書き方は、こちらののし袋のページで、画像入りで詳しく説明しています。
【香典のお金の入れ方】

宗教ごとに異なる香典袋、お香典の書き方

仏式・仏教
書き方解説
「御霊前」
「御香典」
「御香料」
まれに
「ご香料」
◎蓮の花の絵が描かれた熨斗袋は仏式用です。
※「御佛前」「御仏前」「ご仏前」という香典表書きは、一般的には四十九日の法要以後に使います。
※浄土真宗に関しては、「御霊前」の表記は使えません。通夜、葬儀とも「御仏前」となります …(注/前提としては先方の宗教を確認しなくてはならないのですが、急な訃報や、やむを得ない理由で宗教を確認できない場合、表書きを「御霊前」とした香典を持参しても許されるという解釈もあります)
キリスト教式
書き方解説
「御霊前」
「御花料」
◎ユリの花、十字架などの絵が描かれた熨斗袋はキリスト教式用です。
※ 「御霊前」は、キリスト教の福音派では使えないとされています。その場合には「御花料」を。
神道
書き方解説
「御霊前」
「御玉串料」
「御榊料」
◎無地の熨斗袋に白黒または双銀の水引きのものなどを用います。
◎玉串料と玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法について詳しく説明しています>>>

受付で  御霊前(香典)の渡し方のマナー

渡し方とポイント備考
●受付でお悔やみの言葉を述べ、記帳するときに香典もわたします。香典の渡し方のマナーを下記にご紹介します。
受け付けでのお悔やみの言葉の例と香典の渡し方
1)受付で「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみを述べます。
2)受付係が「お忙しいところご会葬頂き恐れ入ります。こちらに記帳をお願いします」などと言いますので、まずは記帳をします。
3)記帳を済ませたらふくさから香典を取り出し、先方から見て名前が読めるように袋の向きを改めて「どうぞ御霊前にお供え下さい」と一言添えて香典を渡します。香典は必ず両手で差し出します。一礼して受付の前を去ります。

場合によっては、記帳と香典を渡す順序が前後します。
1)受付でふくさから香典袋を取り出し「このたびは御愁傷様です」といって受付係に手渡します。香典は必ず両手で差し出します。
2)受付係から「御丁寧に恐れ入ります。こちらに記帳をお願いします」と指示されますので、記帳をします。
3)記帳を済ませたら一礼して受付を去ります。
◎どうしても都合がつかず香典を郵送する場合は、弔電を打ち不祝儀袋ごと現金書留封筒に入れ、手紙を添えて喪主あてに送ります。
※弔電の文例はこちらで紹介しています。【弔電の例文】
◎香典のお返しは四十九日の法要が済んでから半返しを目安に御礼状をそえて。
【お返し】参照
【お香典返し】参照
注意/必ず先方の宗教を確認して下さい。例えば浄土真宗に関しては、四十九日前でも「御霊前」の表記は使えません。通夜、葬儀とも「御仏前」となります。
 なお、事務局では全ての宗教宗派を網羅しているのではなく、一般的な知識を紹介させて頂いております。厳密には、各種の儀式やしきたりは宗教宗派あるいは地方によっても異なります。
誠に恐れ入りますが、ご心配な場合にはお寺や周りの年配の方に確認して頂きますようお願い申し上げます。当サイトの掲載内容は一般的な知識の紹介であることを御了解頂いた上でご利用頂きますようお願い申し上げます。
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