季語》季語とは?春夏秋冬・時候の挨拶

季語のページ。俳句(五・七・五からなる定型詩)には必ず季節を表わす言葉を盛り込まなくてはなりません。これを季語と言います。春夏秋冬それぞれの季節ごとにほぼ決まった季語があります。これに対し、手紙などで冒頭に用いる季節の挨拶は「時候の挨拶」と言います。
このページでは俳句に用いる季節ごとの季語をご紹介しています。
季語
 …季語とは、俳句の中で、その季節を表わすことばとして用いられるものです。俳句を作る際には、必ず盛り込むこととされています。季題と呼ばれることもあります。
このページでは季語について詳しく紹介します。
時候の挨拶
 …時候の挨拶とは、手紙や書面の冒頭部分で、その季節を表わすことばとして用いられるものです。下記の赤字の箇所に用いられているものをさします。
[時候の挨拶の例:]
拝啓 新緑の候 皆様におかれましてはご清栄のこととお慶び申し上げます
 ※なお、時候の挨拶については、別ページで詳しく紹介しています>>>

1.季語とは?

下記に季語についてご説明いたします。
1. 季語とは、俳句の中で、その季節を表わすことばとして用いられるものをさします。俳句を作る際には、必ずもり込むこととされています。季題と呼ばれることもあります。
 
2. 季語は1つの俳句に1つだけしか用いません。季語を2つ以上用いることを、季語を重ねる、季重ね、季語重ねなどと言います。
3. 季語をもりこまない俳句のことを、無季俳句と呼びます。また、川柳のように、世相を風刺的に表わしたり批評したりするものには、季語は不要とされています。
4. 連歌や俳諧でも季の詞(きのことば)、四季の詞という形で用いられることばがあります。
※なお、手紙の冒頭部分に用いられる季節の言葉は「時候の挨拶」と言い、季語とは区別されます。時候の挨拶については、別ページで詳しく紹介しています>>
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2.季節(四季)と季語の分類

俳句は五、七、五の17文字で表わす、世界で最も短い詩とされています。
短い語句の中で季節、風景、心情など多くのことを表現していますが、逆に季語(季題)を発想の源として、季語からイメージを膨らませて句を詠むこともあります。
したがって、俳句において季語が果たす役割は非常に大きいと言えます。

これらの季語は以下のようにして区分け・分類されており、例えば「西行忌」という三文字が入っていれば、春と言う言葉が用いられていなくても春の句、というように読み手に季節がわかるようになっています。
下記に詳しく御説明いたしましょう。
 

(1)-1.季節とは

季語をご紹介する前に、まずは「季節」について御説明いたします。
俳句で用いられる季節は、二十四節気(にじゅうしせっき)に基づいています。
なお、二十四節気によって季節や月を区切ることを「節切り」と言います。

ところで、季語には、春、夏、秋、冬の四季の分類とは別に、 春の季語の中で特にお正月に関するものを「新年の季語」として分けて分類される場合が多いようです。

(1)-2.二十四節気

旧暦で、季節を表わすめやすとして考案されたのが二十四節気だと言われています。冬至を中心として、1太陽年を24等分しています。この二十四節気も、手紙やはがきで時候の挨拶を書く際に参考になります。
日付の見かた…例えば立春は新暦の2月4日頃  
  冬至 …現在の12/22頃
12/7頃 大雪   小寒 …1/5頃
11/22頃 小雪   大寒 …1/20頃
11/7頃 立冬   立春 …2/4頃
10/23頃 霜降   雨水 …2/19頃
10/8頃 寒露   啓蟄 …3/6頃
9/23頃 秋分   春分 …3/21頃
9/8頃 白露   清明 …4/5頃
8/23頃 処暑   穀雨 …4/20頃
8/7〜8/8頃 立秋   立夏 …5/6頃
7/23頃 大暑   小満 …5/21頃
7/7頃 小暑   芒種 …6/6頃
  夏至 …6/21頃
春が2/4頃から、夏が5/6頃から、秋が8/7頃から、冬が11/7頃からなんて、今の季節感とはずいぶん異なりますね。
立春…春の始まる日
立夏…夏の始まる日
立秋…秋の始まる日
立冬…冬の始まる日
と覚えましょう。

(2)季語の分類とは(7分類と9分類)

俳句の中で、ほんのわずかな文字で季節を表わす季語ですが、実際に私たちの暮らしの中で季節を感じる言葉はたくさんありますね。こうした季語は、以下の7つまたは9つに分類されています。
7分類
分類 例えば 春の季語の場合の例
時候 その月の名称や、季節を表わす言葉 初春(はつはる)、春寒し、木の芽時、春の宵、春深し、など
天文 天体や気象を表わす言葉 春風、春雨、菜種梅雨、蜃気楼、花曇(はなぐもり)、など
地理 海、山、川を表わす言葉 焼山、雪解、春の田、水温む、春の川、春の波、菫野、など
人事 暮らし、生活に関する言葉 針供養、卒業、入学、雛遊(ひなあそび)、花見、梅見、など
宗教 宗教に関わる行事と、著名人の忌日(命日) 神武天皇祭、伊勢参、薪能、聖母祭、西行忌、兼好忌、春祭、など
動物 動物 燕(つばめ)、春の駒、蛙(かわず)、鰆(さわら)、蛤、など
植物 植物 梅、桃の花、桜、椿、ライラック、林檎の花、藤、など
9分類
分類 例えば 秋の季語の場合の例
時候 その月の名称や、季節を表わす言葉 初秋、仲秋、秋深し、秋の夜、白露、長月、行く秋、など
天文 天体や気象を表わす言葉 菊日和、秋時雨、星月夜、流星、稲妻、十六夜、鰯雲、など
地理 海、山、川を表わす言葉 山粧う、秋の野、野山の錦、不知火、枯野の色、など
人事 暮らし、生活に関する言葉 秋の服、灯火親しむ、秋の宿、秋団扇、菊枕、菊人形、夜なべ、など
行事 行事に関する言葉 風の盆、おくんち、赤い羽、時代祭、万聖節、敬老の日、など
忌日 著明な人の命日、忌日 乃木祭、道元忌、太閤忌、広重忌、芭蕉忌、紅葉忌、など
動物 動物の名前 雁、蛇穴に入る、蜻蛉(とんぼ)、白鳥渡る、百舌、など
植物 植物の名前 紅葉、落葉、彼岸花、桔梗、コスモス、鶏頭、菊、など
食物 食物の名前 山葡萄、里芋、秋茄子、柚子味噌、松茸飯、林檎、薩摩芋、など

3.季語の例

俳句を詠むときには、季語(季題)を発想の源として、イメージを膨らませて句を詠むこともあります。
したがって、俳句において季語が果たす役割は非常に大きいと言えます。
なお、俳句の季語、季題をまとめたものを歳事記または俳句歳事記と呼び、季節ごとに季語がまとめられたものが出版されています。

(3-1)新年の季語

分類 新年の季語の場合の例
時候 正月、元日、元旦、松の内、松過ぎ、初春、小正月、三が日、七日、小正月、閏正月(うるうしょうがつ)、など
天文 初日、初風、初日の出、初空、初晴、初霞、初凪(はつなぎ)、初東雲(はつしののめ)、など
地理 初富士、初景色、若菜野、など
人事 晴御膳、御用始め、書き初め、羽子板、白馬節会(あおうまのせちえ)、朝賀、年賀、年賀状、年玉 、初夢、初茶の湯、鏡開き、双六、鏡開き、書初め、など
宗教 上辰の祓(じょうしんのはらえ)、頼朝忌、十日戎(とおかえびす)、初子、初丑、初寅、初卯、初○○(干支)…、など
動物 初鴬(はつうぐいす)、伊勢海老、新玉、鷹、初雀(はつすずめ)、初鶏(はつとり)、など
植物 若菜、なずな、福寿草、佛の座、すずな、すずしろ、蓬(よもぎ)、など
食物 雑煮、おせち、数の子、餅、屠蘇、鏡餅、年酒、など

(3-2)春の季語

分類 春の季語の場合の例
時候 初春(はつはる)、春寒し、木の芽時、春の宵、春深し、如月、弥生、仲春、彼岸、啓蟄、など
天文 春風、春雨、菜種梅雨、蜃気楼、花曇(はなぐもり)、おぼろ月、かすみ、花冷え、余寒、春一番、など
地理 焼山、雪解、春の田、水温む、春の川、春の波、菫野、雪崩、山笑う、残雪、水温む(みずぬ るむ)、など
人事 針供養、卒業、入学、雛遊(ひなあそび)、花見、梅見、雛流し、朝寝、新入社員、潮干狩り、朝寝、野焼き、など
宗教 靖国祭、十三詣り、御水取、義士祭、神武天皇祭、伊勢参、薪能、聖母祭、西行忌、兼好忌、春祭、など
動物 燕(つばめ)、春の駒、蛙(かわず)、鰆(さわら)、蛤、うぐいす、蝶、蜂、ひばり、若鮎、桜貝、たにし、蛇穴を出ず、馬の仔、など
植物 梅、桃の花、桜、椿、ライラック、林檎の花、藤、たんぽぽ、土筆(つくし)、若草、菜の花、よもぎ、草の芽、芽吹く、木の芽、など

(3-3)夏の季語

分類 夏の季語の場合の例
時候 立夏、小暑、晩夏、夏の夕、秋近し、土用、卯月、入梅、梅雨寒、梅雨明け、半夏生、夏の宵、麦の秋、など
天文 五月雲、風薫る、土用東風、夏の雲、梅雨空、朝凪、炎天、日陰、南風、逃げ水、遠雷、白南風(しらはえ)、虹、梅雨、など
地理 山滴る、夏野、赤富士、植田、土用波、清水、五月山、夏の海、青田、卯月野、など
人事 行水、鯉のぼり、衣替え、花火、日傘、風鈴、吹き流し、虫干し、菖蒲湯、暑中見舞い、林間学校、浴衣、水玉 、蜜柑水、麦刈り、金魚鉢、夏帽子、団扇、サンダル、帰省、など
行事 母の日、葵祭、夏場所、子どもの日、武者人形、山開き、川開き、富士詣、など
忌日 桜桃忌、晶子忌、朔太郎忌、扶美子忌、鴎外忌、など
動物 初鰹、ほととぎす、金魚、かぶと虫、鮎、うなぎ、蝉(せみ)、雨蛙、ががんぼ、蛍、蝸牛(かたつむり)、蟻、など
植物 青葉、若葉、若竹、夏草、朝顔、向日葵、葉桜、菖蒲、若葉、早苗、あやめ、百合、牡丹、筍、など
食物 夏大根、ビール、氷水、ラムネ、鮎、鰹、さくらんぼ、土用鰻、トマト、など

(3-4)秋の季語

分類 秋の季語の場合の例
時候 初秋、仲秋、秋深し、秋の夜、白露、長月、行く秋、文月、稲刈時、残暑、秋惜しむ、晩秋、秋の暮、秋の夜、など
天文 菊日和、秋時雨、星月夜、流星、稲妻、十六夜、鰯雲(いわしぐも)、秋雨、秋時雨、天高し、天の川、名月、秋風、など
地理 山粧う、秋の野、野山の錦、不知火、枯野の色、秋の田、刈田、秋の川、盆波、秋出水、落し水、秋の浜、など
人事 秋の服、灯火親しむ、秋の宿、秋団扇、菊枕、菊人形、夜なべ、月見、紅葉狩、芋煮会、牽牛、織女、稲刈、など
行事 風の盆、おくんち、赤い羽、時代祭、万聖節、敬老の日、運動会、盆踊り、墓参り、七夕、十五夜、、迎え火、秋彼岸、など
忌日 乃木祭、道元忌、太閤忌、広重忌、芭蕉忌、紅葉忌、など
動物 雁、蛇穴に入る、蜻蛉(とんぼ)、白鳥渡る、百舌、鹿、猪、落鮎、秋刀魚、太刀魚、初鮭、秋鯖、など
植物 紅葉、落葉、彼岸花、桔梗、コスモス、鶏頭、菊、栗、萩、芋、彼岸花、など
食物 山葡萄、里芋、秋茄子、柚子味噌、松茸飯、林檎、薩摩芋、西瓜、とうもろこし、柿、など

(3-5)冬の季語

分類 冬の季語の場合の例
時候 師走、年の瀬、年越し、節分、小寒、霜月、大晦日、年の暮れ、霜夜、年の内、神無月、節分、など
天文 小春日和、初雪、雪、樹氷、北風、冬の雨、霧氷、霜、冬凪、雪晴、風花、オリオン、木枯らし、流氷、など
地理 冬の山、山眠る、枯れ野、冬の海、冬の川、冬の波、冬田、時雨、など
人事 炭、炭俵、ストーブ、炬燵(こたつ)、火鉢、家事、スキー、スケート、雪見、暖房、湯田んぼ、風、竹馬、火の番、雪だるま、など
行事 針供養、柚子湯、節分、除夜、クリスマス、降誕祭、酉の市、羽子板市、豆撒き、社会鍋、など
忌日 一茶忌、漱石忌、芭蕉忌、近松忌、など
動物 鶴、白鳥、狐、熊、熊穴に入る、冬の雁、ウサギ、鯨、鱈、鰤(ぶり)、千鳥、寒雀、鴨、ふぐ、など
植物 枯れ木、枯葉、枯れ尾花、水仙、寒椿、さざんかなど
食物 鴨鍋、鯛焼き、鱈場蟹、ちり鍋、寒餅、人参、大根、白菜、みかん、葱(ねぎ)、など