始末書の提出は、会社・職場の規程や規則に則った処分のひとつです。過ちやミスを認め反省し、始末書を書いて提出すること自体が処罰であり、それ以上の罰則を受ける必要はありません。処分が確定すれば、原則として「規程や規則を超えた処分」が下されることはないのです。
目次
Ｑ1．始末書を書くとどうなるの？ |
まずは確認。始末書を書くように指示されるのはどんなとき？会社・職場でミスや不始末をおかしたとき、あるいはトラブルが発生したときに、上司から始末書の提出を求められることがあります。始末書を書くというのは懲戒処分のひとつですが、比較的軽微なミスやトラブルの際に下される懲戒と言えます。 始末書を書くとどうなるのかについて説明します。 |
始末書を書く以上のことはありません。その理由は？ |
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一般的な会社では就業規則で「懲戒」の内容が定められています。犯した不始末や不祥事やトラブルの大きさにより、口頭で注意する、書面で注意し戒める、始末書を提出させる（けん責処分の例）…などの軽い処分から、減給、出勤停止、降格、解雇などの重い処分まで「懲戒」の各段階が会社ごとに決められています。最も軽い懲戒が口頭注意、最も重い処分が解雇（いわゆるクビ）となります。 この中で、始末書は「けん責処分」として、比較的軽微な不始末や不祥事に対して科されるものです。もちろんもっと軽いごく小さなミスであれば、反省し謝罪することで済まされるケースが大半ですが、会社に与える影響が大きいもの、特に会社に金銭的損失を追わせたり、社内規定に違反したり、会社の社会的イメージを著しく損ねたような場合には、始末書の作成と提出が必要となります。 始末書を書く以上のことはありません…なぜなら、始末書を書くこと自体が処分だからやや細かい話になりますが「始末書を提出せよ」と指示された、このこと自体が「始末書提出という懲戒処分を受けた」ことになります。それ以上の罰則を受ける必要はありません。処分が確定すれば、原則として「規程や規則を超えた処分」が下されることはないのです。［就業規則の懲戒の種類の例］（参考：厚生労働省 モデル就業規則 pdfファイル 別ウインドウで開きます） （懲戒の種類）
懲戒処分の種類については、↑この条文に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。公序良俗に反しない範囲内で事業場ごと決めることも可能です。会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。 ①けん責 始末書を提出させて将来を戒める。 ②減給 始末書を提出させて減給する。ただし、減給は１回の額が平均賃金の１日分の５ 割を超えることはなく、また、総額が１賃金支払期における賃金総額の１割を超えることはない。 ③出勤停止 始末書を提出させるほか、 ◯◯日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は 支給しない。 ④懲戒解雇 予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監 督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当（平均賃金の３０日分）を支給しない。 一般的には「①けん責」よりも軽いものに「訓戒（くんかい）」があります。文書や口頭で戒め反省を促すものです。 |
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Ｑ2．始末書を書くと経歴に傷がつくの？ |
始末書を書く原因となったトラブルやミスの大きさによる。始末書を書いたからといって、すべてが即、経歴に傷がつくわけではありません。 |
始末書を書く原因となったミスやトラブルの程度によって異なる |
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Ｑ1．トラブルやミスの程度が軽い場合軽微なミスやトラブルによるものは、即、経歴に傷がつくわけではありません。ただしトラブルやミスの程度が大きい場合には、人事考課表や査定表に記載され、ボーナス査定に響くこともあります。逆に始末書を提出し深く反省の意を表した場合には査定表に記載されず、始末書の提出を頑なに拒否したことで「犯したミスに対する反省の意を示さない」として人事評価にマイナス査定をされることもあります。 Ｑ2．けん責以外の懲戒処分における始末書の場合には？始末書プラス減給、始末書プラス出勤停止、などの処分を受ける場合には、人事考課表や査定表に記載されたり、昇給・昇格に影響することもあります。Ｑ3．同じ不始末やミスを何度も繰り返し、数回にわたり始末書を書く懲戒処分を受けた場合は？何度も繰り返す悪質な社員に対しては別途処分が下されることがあります（前提として就業規則に定めがあれば「懲戒解雇」も可能となります）。不始末やミスを繰り返す場合には人事考課表や査定表に記載され、昇進や昇給に影響することもあります。
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Ｑ3．始末書を書いたことがある場合…履歴書の「賞罰」の欄に書くの？ |
基本的には書く必要なし。始末書は賞罰の罰とは別。始末書を書くような処分・処罰は履歴書に書く「罰」にはあたりません。 |
履歴書の「賞罰」の「罰」にはどんなものが該当するのか |
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どんなことを書くのか一般的に賞罰の「罰」として書くのは刑事罰と考えられています。刑事罰には死刑を除くと懲役、禁錮、罰金、拘留、科料があります。裁判で有罪判決が確定したものがこれに該当し、執行猶予付き判決も有罪判決に変わりないため（前科になりますし）、書かなくてはなりません。この他に重大な人身事故を起こし自動車運転処罰法が適用された場合や、危険な運転行為(薬物の使用等)により人身事故を起こし「危険運転致死傷罪」が適用された場合、あるいは飲酒運転やひき逃げ、当て逃げ、無免許運転などにより交通事故を起こし刑事罰を受けた場合には、履歴書に書かなくてはなりません。 以上により、始末書を書くという処分を受けた場合でも履歴書の賞罰の欄にかくひつようはありません。 |
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Ｑ4．始末書を書くと出世にひびくの？ |
始末書を書く原因となったトラブルやミスの大きさによる。始末書を書いたからといって、すべてが即、出世にひびくわけではありません。 |
始末書を書く処分のもとになったミスやトラブルの程度による |
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責任の所在を明らかにし、反省を促す意味もある。原因をはっきりとさせ、二度と起こさない対策を。 始末書を書く事自体がすぐに出世に響くわけではありません。ミスは誰もがおかしてしまう可能性があるものです。自らが犯したミスやトラブルについて率直に反省する態度は非常に大切であり、二度と起こさないことや、努力して挽回することが最も大切なのです。 大きなトラブルが原因の始末書なら、昇進に影響する可能性もある会社に大きな損害を与えた結果の始末書であれば、昇進に影響する可能性もあります。 |
Ｑ5．始末書を書かないと解雇されるの？（始末書を書かないとクビになるの？） |
| 社内規程にもよりますが、始末書を書かないことを理由に解雇されるということは、ほぼありません（クビになることはほぼありません）。 |
何度も懲戒処分を受け、そのつど始末書を書かない場合には影響あり |
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| 社内規程にもよりますが、一般的には、始末書を書かないことを理由に解雇されるということは、ほぼありません。 しかし、人事考課・査定表にその旨を「反省の態度が見られない」などと記載をすることは可能です。 また、数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず悪質な不始末を繰り返し、始末書の提出を拒む社員には、処分を言い渡す際に、「もし次に同じことを繰り返した場合には就業規則に則り、相応の処分をする可能性もあります」と伝えることもできます（この場合は就業規則に別の処分の記載があることが必要です）。 |
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