玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法を解説

玉串料と玉串奉奠の仕方のページ。玉串とは、神道の儀式のときに参拝者や神職が神前に捧げる、榊の枝に紙垂をつけたものをさします(紙垂=読み方「しで」四手・垂とも書きます)。
このページでは、神道の儀式に欠かせない玉串の捧げ方(玉串奉奠=読み方「たまぐしほうてん」)・作法を解説します。また、神前に捧げる供物の金品や、神社への謝礼として用いられる玉串料についても説明しています。

1.玉串とは

玉串とは、神道の儀式に用いられる、榊(さかき)などの常緑樹に、紙垂(かみしで)をつけたものをさします。紙垂(かみしで)は、以前は木綿が使われていました。

玉串について

●玉串は神道の様々な儀式、神事に用いられます。
●神社にお参りするときは、普通に参拝する場合と、神職に祝詞をあげてもらったり、祈祷やお払いをしてもらう正式参拝をする場合があります。
玉串は、正式参拝のときに、神様への捧げものとして祭壇に奉納します。これを玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言います。(※奉奠を奉天と書くのは誤りです。)
※参拝のページ参照>>>
●玉串奉奠(たまぐしほうてん)は、以下のような場合にも行われます。
◎ 玉串は、結婚式、安産祈願、お宮参り、七五三などで祝詞(のりと)を奏上してもらう際にも奉納されます。
◎ 玉串は、地鎮祭などの神事にも奉納されます。
◎ 神道の葬儀や法要の際に、いわば焼香の代わりに参列者が祭壇に供えます。
【補足解説】
●榊は、神木として神様に供せられることが多く、神棚にも備えられます。
●紙垂(かみしで)は、紙四手と書かれることもありますが、「四手」は当て字です。「垂らす、下げる」という意味の「垂づ(しづ)」の連用形が「しで」です。
注連縄(しめなわ)に紙垂をたらしたものは、神様の領域と、外界を区別するために貼られ、神棚にも用いられます。

2.玉串料とは?

玉串とは、榊の枝に紙垂をつけたものをさし、神社において、参拝者や神職が神前に捧げるものです。玉串の代わりとして納める金銭を玉串料と言います。
神社、神職へ祈祷やお祓い、葬儀の謝礼として渡す金銭の表書きにも「御玉串料」という名称を用います。
熨斗袋へのお金の入れ方や、漢数字の書き方は、「のし袋」のページを御覧ください>>>
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玉串料について

2-1. 玉串料と初穂料の違いは?

●神社に渡す謝礼の表書きとしては、「御初穂料」「御玉串料」「御礼」「御祭祀料」「御祈祷料」などがあります。
一般的に良く用いられるのは「初穂料」「玉串料」「御礼」です。
では、玉串料と初穂料はどうちがうのでしょうか?
●初穂とは、その年の最初に収穫された稲、穀物などの農作物をさし、神仏への捧げものとして毎年奉納されていました。現在ではその代わりとする金銭を初穂(はつほ)、初穂料、お初穂料などと言います。
◎初穂料……各種祝い儀式(七五三、お宮参り)、結婚式、各祈祷、厄払い、地鎮祭などの際に神社に納める謝礼として金銭を渡す際の表書きに用います。
また、上で述べたように、お守りや、お札を神様から授かる時にも「初穂料」という言葉を使います。
(これに対し、玉串料は文字どおり「玉串の代わりとして納める金銭」なので、お守りやお札を授かる際には用いません。)
●玉串とは、榊の枝に紙垂をつけたものをさし、神社において、参拝者や神職が神前に捧げるものです。玉串料はこの玉串の代わりとして納める金銭のことを言います。
◎玉串料…………通夜際、葬儀(葬場祭)、各種祝い儀式(七五三、お宮参り)、結婚式、各祈祷、厄払いの際に神社に納める謝礼として金銭を渡す際の表書きに用います。
また、通夜際、葬儀(葬場祭)に参列する人が持参する香典の表書きにも用います。
[ワンポイント]
(玉串料と似たような場面で用いられる表書きに初穂料があります。玉串料が不祝儀にかかわる表書きにも用いられるのに対し、葬儀の際、参列者が持参する香典の表書きには、初穂料という表書きは使いません。
しかし、前述のようにお守りやお札(おふだ)を授かる際には玉串料という表書きは用いません。)
2-2.につづく

2-2. 玉串料の表書きの書き方は?

神社への謝礼として使う場合の、表書きの書き方】
◎神社での正式参拝(祝詞をあげてもらう・祈祷やお祓いを受ける)の際に神社に渡す謝礼は、白赤の蝶結びの熨斗袋に入れて用意をします。
白封筒でもOKです。
◎のし袋に入れる場合、水引きは蝶結びのものを用意します。「のし」はなくても構いません。ここでいう「のし」とは、右図の熨斗袋の右端にある赤い紙を折り畳んだ部分をさします。
◎表書きは「御初穂料」「御玉串料」「御礼」「御神饌料」などです。
◎下段には、祈祷を受ける人の姓、氏名、会社の場合は正式社名にならべて社長名を書きます。
◎ 七五三の際に祈祷を受けるなら、下段は子どもの名前を書きます。地方によっては、年齢も書き添える地方もあります。お宮参りなら、下段は赤ちゃんの名前になります。
※右上の熨斗袋の表書きの見本の画像をご覧ください。水引きは「蝶結び」になっています。一般的な祈祷や祝詞ならこの画像のような蝶結びを用いますが、婚礼の場合は「結び切り」のものを使います。間違えないようにご注意下さい。
●神社に支払う謝礼としての初穂料の金額、玉串料の金額のめやす・相場
神社によっては、料金を規定しているところもあります。事前に電話などで問い合わせることをおすすめします。
合格祈願、安産祈願、交通安全、厄よけ、お宮参り、七五三など、それぞれの目的によって異なりますが、個人が参拝する場合のご祈祷料、初穂料、玉串料の相場は、5,000円〜が大半です。会社の場合は10,000円〜が多いようです。(地方では3,000円〜)
御祈祷を受ける人数によっても異なります。
神社によっては、祝詞奏上や祈祷や厄払いのあと、お守りや縁起ものなどを「おさがり」として下さる場合もあります。そうした場合は祈祷料として10,000円くらい必要です。
(規定料金を設定している場合、5,000円からというところが多いようですが、学業成就などについては、3,000円や4,000円で祈祷をしてくれる神社もあります)

神式の葬儀(葬場祭)の際の、香典の表書き(書き方)】
●神式の葬儀(葬場祭)の際に、参列者が持参する香典の表書きには、「御玉串料」「御神前」「御榊料」「御霊前」などです。
◎のし袋に入れる場合、水引きは「結び切り」のものを用意します。
蓮の絵の入った袋は、仏教専用ですので神道には使えません。注意してください。
水引きの色は双銀、双白など。
●葬場祭のあと神職に渡す謝礼の表書きは「御玉串料」「御神饌料」「御礼」などです。
※玉串料の入れ方…お金の向きを揃えて入れます。慶事と弔事とでは入れ方や包み方が異なります。
参考ページ…玉串料の入れ方、お金の包み方については下記ページをご参照下さい。
(別サイトです。祝儀袋、お金の入れ方包み方>>>
(別サイトです。不祝儀袋、お金の入れ方包み方>>>

3.玉串奉奠の仕方[1]
   お祝い事・慶事、祈願、祈祷のとき

神前結婚や、お宮参り、七五三などのお祝いごとや、安産祈願、合格祈願、地鎮祭、安全祈願、厄よけなどの儀式において神職からご祈祷やお祓いを受けたりする正式参拝・昇殿参拝の際に欠かせない「玉串奉奠の作法」(読み方=たまぐしほうてん)についてご説明いたします。
お祝いの神事の玉串奉奠では、最後にパン、パン、と二回拍手をします。
お悔やみの神事の玉串奉奠では、最後に音がしないように二回偲び手をします。
まずはお祝いのときの作法(やりかた・方法)から説明します。
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お祝い事・慶事の玉串奉奠の仕方

順番説明
1.申し込み・予約
●社務所、祭儀所などにご祈祷やお祓い、祝詞奏上の申し込み(祝詞を上げてもらうための依頼)をします。※祝詞(=のりと)
新年の初詣での御祈祷をはじめ、日柄の良い日の祈祷やお祓いは、電話などで事前に予約するか、問い合わせをすると良いでしょう。
2.神社に渡す謝礼を用意しておく
※詳細はこのページの上の方にある項目をご参照ください「玉串料

参拝 ●詳細は「参拝」のページをご参照下さい。

3,鳥居をくぐる前に
●服装の乱れを整えます。
4,鳥居をくぐる時
●神社などでは、神様が祭られている場所に入る際に、神様を敬う気持ちを表わすために軽く会釈をして境内に入ります。
5,手水舎で身を浄める
●境内の手水舎で、身を清めます。
[手水舎で身を浄める方法]
(1)まず右手に柄杓(ひしゃく)を持ち、左手を洗い清めます。
(2)柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。
(3)再び持ち替えて柄杓を右手に持ち、左のてのひらで水を受けて口をすすぎます。
(4)左の手のひらを清めます。
(5)最後に柄杓を縦にして、自分が持った柄の部分に水を流し、元の位置にもどします。 柄杓は伏せておきます。
6,正式参拝のしかた
[参拝の方法]
(1)事前に予約をしてある場合には、社務所に声をかけます。予約をしていない場合には、社務所に正式参拝を申し込みします。
(2)拝殿(または本殿)に案内されます。拝殿に上がる前には軽く礼をします(一揖する=いちゆうする。浅いおじぎのことを言います)
(3)神職の指示に従って、指定された場所で待ち、姿勢を正します。
(4)神職が祝詞を奏上している間は、心を静かにしてじっと耳を澄ませます。目を閉じても構いません。
(5)神職または巫女の指示で玉串を捧げます。
玉串を神に捧げることを玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言います。下記★でその作法をご説明いたします。
玉串奉奠のしかた ★
【玉串奉奠の方法(たまぐしほうてんのやり方、順番)】
(5-1) 神職または巫女さんから玉串を受け取る時は、右手で榊の根元をもち、左手を下から添えます。
 
(5-2) 祭壇の前に進み、姿勢を正し、一礼します。
(5-3) 玉串を右に回転させ、手前に根元を持ってきます。
(5-4) 玉串が縦の向きになったら、右手だけを図の向こうにずらします。
(5-5) 右手を右方向に動かし、玉串を再び回転させ、根元を祭壇の方に向けます。
(5-6) 玉串を祭壇に捧げます(神に捧げます)。
(6)一歩下がって、もう一度姿勢を正します。
(7)二拝二拍手一拝の作法で拝礼を行います。
ニ礼二拍手一礼の作法、あるいは、再拝二拍手一拝の作法とも言う)
 [二拝二拍手一拝、ニ礼二拍手一礼の作法]
 (7-1) 二回、90度の礼をします。
 (7-2) 胸の前で二回、拍手をします。
 (7-3) 最後に一度、一回、90度の礼をします。
(8)もとの位置に戻ります。

拍手(はくしゅ)は、鈴と同じように邪気を祓う意味や、神様を呼び出すためと言われます。「かしわで」と言われることがあります。
※上記は神社での拝礼のしかたです。寺院では手を合わせ合掌するだけで拍手はしません。
7,本殿を出る
向きを変えて会釈をして本殿を出ます。
8,鳥居をくぐる時
向きを変えて、軽く会釈をして境内を出ます。
※はみだし知識…神社に渡す謝礼は玉串料、初穂料と言います。お寺の僧侶に読経などの謝礼として渡すものはお布施と言います。
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4.玉串奉奠の仕方[2]
   神道の神式葬儀(葬場祭)のとき

神道では、神式葬儀(葬場祭)の際には、焼香をしないで、代わりに祭壇(玉串案と言います)に玉串を奉納します。
下記にそのやり方・作法をご説明いたします 。
神式では葬儀だけではなく、法要(霊前祭や粗霊祭)の際にも玉串奉奠をします。
※例えば仕事関係者の会葬が多い場合などのように、参列者の中に神式の玉串奉奠に不慣れな人が多い場合には、神社に葬儀や法要を予約・依頼する際に「参列者の中には不慣れな人が多いのでよろしくお願いします」と伝えておくと、係の方が非常に親切に玉串奉奠の作法について案内をしてくださいます。

順番説明
1,手水の儀(ちょうずのぎ)
●通夜際や、葬場祭の前に、会場(式場)に入る参列者の身を浄めるための儀式です。
神社の手水舎と同じ要領で行います。
[手水の儀の作法]
(1)まず右手に柄杓(ひしゃく)を持ち、左手を洗い清めます。
(2)柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。
(3)再び持ち替えて柄杓を右手に持ち、左のてのひらで水を受けて口をすすぎます。
(4)左の手のひらを清めます。
(5)最後に柄杓を縦にして、自分が持った柄の部分に水を流し、元の位置にもどします。 柄杓は伏せておきます。
2.受付を済ませる
※受付ではお悔やみの言葉を述べ、記帳をし、香典を渡します。
 地方によっては、受付と手水の儀の順序が逆になっている斎場もあります。
 また、細かいところは異なる場合もありますのでご承知おき下さい。
3.式場に移動し順番を待つ
(1)式場に案内されます。式場に入る前には軽く礼をします(一揖する=いちゆうする。浅いおじぎのことを言います)
(2)係の指示に従って、指定された場所で待ち、姿勢を正します。
(3)神職が故人のために祈祷をしている間は、心を静かにしてじっと耳を澄ませます。目を閉じても構いません。
(4)順番が来たら前に進み、遺族、神職に一礼し、玉串を受け取ります。
[ワンポイント]
このあと玉串を祭壇にささげ(祭壇は玉串案=たまぐしあん と言います)、故人の冥福を祈ることも玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言います。以下に通夜祭または葬場祭でのその作法をご説明いたします。
4.玉串奉奠のしかた・順番
(5-1) 神職または巫女さんから玉串を受け取る時は、右手で榊の根元をもち、左手を下から添えます。
(会釈をしながら受け取ると丁寧になります)
 
(5-2) 祭壇の前に進み、姿勢を正し、一礼します。
(5-3) 玉串を右に回転させ、手前に根元を持ってきます。
(5-4) 玉串が縦の向きになったら、右手だけを図の向こうにずらします。
(5-5) 右手を右方向に動かし、玉串を再び回転させ、根元を祭壇の方に向けます。
(5-6) 玉串を祭壇に捧げます(神に捧げます)。
(6)一歩下がって、もう一度姿勢を正します。
(7)二拝二拍手一拝の作法(ニ礼二拍手一礼の作法、あるいは、再拝二拍手一拝の作法とも言う)で拝礼を行います。
 [二拝二拍手一拝の作法]
 (7-1) 二回、90度の礼をします。
 (7-2) 胸の前で二回、しのび手をします。
 (7-3) 最後に一度、一回、90度の礼をします。
(8)もとの位置に戻ります。

しのび手とは、拍手とは異なり音をたてずに手のひらを静かに合わせることを言います。音をたてないように注意してください。
斎場を出る
向きを変えて会釈をして斎場を出ます。
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