焼香マナー》お焼香仕方順番/焼香順位/通夜葬式/お通夜/焼香台/回数/意味

 仏式(仏教)の葬儀・告別式に参列する時には、覚えておきたいマナーやしきたりがいろいろありますが、なかでも最も緊張するのがご焼香の作法です。
 1.宗教によって、数珠の使い方が異なること。2.線香と抹香とではやり方が異なること。3.立礼焼香、座礼焼香、回し焼香といった作法があること。これらのポイントを頭に入れておけば大丈夫です。それぞれのご焼香のやり方について、以下にわかりやすくご説明いたします(お焼香と呼ぶ地域もあるようです)。

1.ご焼香とは?

焼香とは、葬儀・お葬式などの儀式において、死者を弔うために香を焚くことを言います(香=線香や抹香などをさす)。
初めての方のためにご説明をいたしますと、抹香(まっこう)というのは、粉末状に細かくした香のことをさし、線香(せんこう)は棒状になっている香をさします。
抹香は火をつけるのにも手間がかかるため、葬儀や告別式には抹香を用いますが、それ以外の法事やお通夜や、一般的な弔問には、線香をあげることが多いと言われています。
ただし、通夜の読経のあとや、法事に僧侶に読経をして頂いたあとの焼香には、抹香を用います。
(※このように儀式においては抹香を用いることが多いので「焼香」という言葉自体が「抹香をあげること」をさし、一般的な弔問や、ふだんに用いられる線香を使用する場合には「線香をあげる」という、という説もあります。)
お香には、その香りで邪気を祓い、霊前を浄め、冥福を祈る気持ちと意味がこめられています。
宗派によって焼香の作法がそれぞれ異なりますので、注意が必要です。
(宗派による違いは、このページの別項目でご説明いたします)
よく、リラックスした時間や空間を愉しむためにお香をたしなむ方がいらっしゃいますが、皆さんもご存じのとおり、お香とお線香の作り方はともに同じです。 故人や先祖を供養するために焚くのがお線香で、自分が愉しむために焚くのがお香です。 しかし最近では香りを愉しむお香が沢山出まわっており、用途によって形状やパッケージもさまざま、見た目もハッキリ分れてきています。
※ワンポイント…混同されがちですが葬儀と告別式は別物です。

百合(ユリ)の花
百合
お悔やみの花
について…
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【葬儀】は、故人が「無事に成仏するように」、読経・念仏の供養をする儀式です。定刻の10分前位に到着し、そのまま後に続く【告別式】にも参列するのが原則です。
【告別式】は、会葬者が「この世での善行を足す」意味で、焼香などをして故人とお別 れをする儀式です。告別式だけに出る場合は時間内に会場に行き、焼香・拝礼の列の後尾に着きます
★ 下記に抹香での焼香の作法と線香での焼香の作法をご紹介します。筆者も初めての時には、自分の順番が回ってくるまでの間、前の人がどのようにやるのかをじっくり観察して臨みました。年配の人や地元の人の作法に従うようにすると失敗がありません。
★焼香順・焼香する順番…(御焼香の順番・順位)焼香はまず遺族から(故人に縁の深い人から)焼香します。その後、前の方の席の人から焼香するのが一般的です。
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抹香の焼香のしかた

名称抹香での焼香の仕方 ※線香での焼香の仕方へ>>

抹香の立礼焼香

 
【立礼焼香のしかた・方法】
(1)数珠は左手に持ち、房(ふさ)の部分が下に来るようにします。焼香台に進む前に、遺族・僧侶に一礼してから焼香台の方に静かにすすみます。
(◎数珠は、仏教徒以外は持ちません。原則として数珠を持つ時は常に左手に持ちます)
(2)焼香台の3〜4歩前で止まり、遺影(故人の写真)と仮位牌を見つめてから、改めて台の一歩手前まで進みます。
ここで一度合掌します。
合掌の際は、 数珠を持った左手に、空いている右手を添えるようにして(または数珠を両手にかけて…宗派によって異なります)手を合わせます。

立礼焼香

(3)焼香台の右前にある抹香(粉末状の香)を、右手の親指・人さし指・中指、の三本の指でつまみ、頭を垂れるようにしたまま目を閉じながら額のあたりの高さまで捧げます。(右図)
(4)額までかかげた手をおろしながら、抹香を静かに左側の香炉の中に落とします。 これを1〜3回繰り返します。
(この焼香の回数は宗派によって異なります)
人数が多く、混雑している時は、1回だけ丁寧にたけば良いでしょう。
(5)焼香が済んだら、もう一度合掌します。
次に、遺影の方を 向いたまま3歩下がり、僧侶・遺族に一礼をし、くるりと向きを変えて自分の席に戻ります。

抹香の座礼焼香

 
【座礼焼香のしかた・方法】
●基本的には立礼と同じですが、和室などで焼香するときに近い距離なら立ち上がらずに焼香台まで移動するやり方があります。
このときの移動の作法を、「膝行・膝退(しっこう、しったい)」と言います。
※膝行・膝退(しっこう、しったい)のやり方…腕の力で身体を少し持ち上げ、ひざをついたまま少しづつ移動します。
(1)親指だけを立てて、他の指を握ります。
(2)そのまま両腕を身体の両脇よりもやや前に置き、力を込めて身体を少し持ち上げるようにしながら、膝を少しずつ前に出しながら移動します。
(3)遺族の席の前まできたら、遺族と僧侶に礼をします。座布団には、座らない方が良いようです。焼香台の前まですすみ、座布団を下座へよけて、正座をします。
まずは一度ここで合掌します。
焼香は、立礼と同じように、親指、人さし指、中指の三本の指で抹香をつまみ、目を閉じて額の高さまでかかげます。故人に礼をしながら、香炉に落とします(1〜3回)。
最後に、両手をそろえて合掌します。
(この焼香の回数は宗派によって異なります。人数が多く、混雑している時は、1回だけ丁寧に行えば良いでしょう。)
(4)焼香を終えたら、祭壇の方を向いたまま両腕を脇について、ひざを浮かせて後方に下がります。僧侶、遺族に一礼をします。
(5)今度は、両脇に腕をつきながら、ひざで後退するようにして、自席にもどります。

※席が遠い場合には、(1)(2)については、腰をかがめた中腰の姿勢で遺族の前まで進みます。焼香を終え、(4)で、僧侶、遺族に一礼を済ませてからは、中腰の姿勢で自席にもどります。

線香の焼香のしかた

名称線香での焼香のしかた解説

線香の回し焼香

 
【線香での まわし焼香のしかた・方法】
●狭い自宅などで葬儀を行なう場合、通常、祭壇に置かれている焼香台の代わりに、香炉、抹香などをお盆などに載せ、前の方に並んでいる親族から順番に焼香していきます。
この場合、参列者は自分の席にすわったままで焼香することになります。
右側が抹香(粉末状のお香)、左側が香炉(火がついた小さな炭や灰などが入っているもの)です。
(1) 前の人から、お盆がまわってきたら、軽く一礼して受け取ります。
(2) 自分の膝の上か、すぐ前にお盆を置きます。
(3) 右手の親指、人さし指、中指の三本の指で抹香をつまみ、目を閉じて額の高さまでかかげます。故人に礼をしながら香炉におとします。この動作を1〜3回行ないます。(この焼香の回数は宗派によって異なります。人数が多く、混雑している時は、1回だけ丁寧に行えば良いでしょう。)
最後に、両手を揃えて合掌します。
(4)済んだら隣の人にまわします。このとき軽く一礼します。
名称線香での焼香のしかた解説

線香の立礼焼香

 
【線香での 立礼焼香のしかた・方法】
(1)数珠は左手に持ち、房(ふさ)の部分が下に来るようにします。焼香台に進む前に、遺族・僧侶に一礼してから焼香台の方に静かにすすみます。
(◎数珠は、仏教徒以外は持ちません。原則として数珠を持つ時は常に左手に持ちます)
(2)焼香台の3〜4歩前で止まり、遺影(故人の写真)と仮位牌を見つめてから、改めて台の一歩手前まで進みます。
ここで一度合掌します。
合掌の際は、 数珠を持った左手に、空いている右手を添えるようにして(または数珠を両手にかけて…宗派によって異なります)手を合わせます。
(座礼の場合は、祭壇ににじリ寄って合掌します。) 
(3)数珠を持っていれば左手に掛け、右手で線香を取ります。宗派によって異なりますが、普通1本〜3本です。
手に取った線香に火をつけます。複数本であっても、一度に線香に火をつけ、左手で仰いで火をおさめます。
 (注意)息を吹きかけて消すのはマナー違反です。
(4)他の人があげた線香に付かないように、離して立てます。
◎線香を寝かせて供える宗派もあります。 
(5)焼香が済んだら、改めて合掌して故人の冥福を祈ります。
前を向いたまま2〜3歩下がり、僧侶、遺族に一礼します。
向きを変えて自分の席に戻ります。
◎焼香の一連の動作の中で鈴や木魚に触れないように気を付けましょう。

線香の座礼焼香

 【線香での座礼焼香のしかた・方法】
抹香による焼香に準じます。

2.ご焼香のやり方(各宗派による違い)

線香焼香

焼香の仕方は、各宗派によって違いがあります。
人によって考え方が異なるようで、葬儀・お葬式が行なわれている家の宗派にあわせるべきだという意見もあります。
筆者がご意見をお伺いしたお寺では「あなた自身の宗派のやり方でご焼香すれば良いですよ」と教えて下さったのですが、ご遺族に不快な思いをさせてしまう可能性も否定できません。
筆者は、あくまでも故人の冥福を心を込めて祈る気持ちが大切であり、宗派による作法の違いにこだわる必要は無いと考えますが、もし知識や作法をきちんと心得えて参列することで、遺族をはじめ参列者の皆さんが心おだやかに過ごすことができるのなら、これもまた大切なことだと言えるでしょう。
各宗派による焼香のしかたの違いをご紹介いたします。
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宗派別 ご焼香のしかた・やり方

宗派線香での焼香のしかた抹香での焼香のしかた
臨済宗●1本をあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を1回行う。
真言宗●バラバラに離して3本をあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を3回くりかえし行う。
曹洞宗●1本をあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を1回したあと、2回目は抹香をつまんだらそのまま香炉に入れる。
日蓮宗●1本をあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を1回(または3回)くりかえし行なう。
日蓮正宗●線香1本を2つに折って火をつけずに置く●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を3回(または1回)くりかえし行なう。
浄土宗●1本を2つに折ってあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を3回くりかえし行なう。
宗派別 ご焼香のしかた・やり方  つづき
宗派線香での焼香のしかた抹香での焼香のしかた
浄土真宗大谷派●線香2本を2つに折って火をつけずにあげる●抹香をつまんだら額の高さまでかかげずに、そのまま香炉に焚く動作を繰り返し2回行う。
浄土真宗●線香を立てずに、1本を2つに折って火をつけて寝かせてあげる 
浄土真宗本願寺派●抹香をつまんだら額の高さまでかかげずに、そのまま香炉に焚く動作を1回だけ行なう。
真宗 ●抹香をつまんだら額の高さまでかかげずに、そのまま香炉に焚く。
天台宗●3本をあげる●抹香をつまんで額の高さまでかかげ、香炉に焚く動作を3回くりかえし行なう。

3.仏教以外の葬儀・お葬式について

 仏式以外の葬儀では、数珠や、線香・抹香は使いません。
神式では玉串をささげ、キリスト教ではカトリック、プロテスタントのいずれも白い花を捧げます。
◎玉串奉奠(たまぐしほうてん)…聞き慣れない、難しい言葉です。
神式の葬儀・お葬式において、神前に玉串を捧げる(謹んで供える)ことを玉串奉奠と言います。
※はみだし情報……玉串とは、榊(さかき)などの常緑樹の小枝に、紙のヌサ(幣)と言われるもの、または木綿(ユウと言われるもの)をつけ、神前に供えるものです。葬儀だけでなく、神前結婚式など、あらゆる神事に用いられます。葬儀では仏教における線香の代わりに用いられ、遺族や会葬者によって神前に捧げられます。
◎献花…キリスト教式の場合は、白い花を捧げます。生花しか用いません。茎が長い花が用いられ、白い百合をはじめ、白いカーネーションなどが用いられます。最近はかすみ草が使われることもあります。白いバラはトゲがあるためあまり用いられることはありません。その他に特に故人がお好きだったお花があれば用いられることがあります。

仏教以外の宗教の場合

ポイント
神道 玉串を捧げる
 
1まずは身を清めます。
やりかたは、ひしゃくに水を汲み、左手、右手の順にかけ、次に左手に水を受けて口をすすいで懐紙でふきます。
2. 祭壇の手前で、一旦立ち止まり、遺族・神官に一礼します。
3.神官から玉串を受け取ります。右手で根元を上からもち、左手で葉の方を下から支えるように持ち、祭壇前に進み一礼します。
4.玉串を時計回りにし、右手で持っている根元を自分の前に持ってきます。葉の方の左手は神前に差し出すように下から葉を支えます。
5.玉串を額に近づけるように掲げ、故人の冥福を祈ります。
6.玉串をもとの高さに下げ、左手で根元の方を持ち、右手で葉の方を持つように、手を持ち替えて更に時計回りにします。
7.根元が祭壇の方を向いたところで、神前に一歩進み、玉串を胸の高さに掲げ、玉串案にお納めします。
8.そのまま後ろに2〜3歩下がり、2回礼をします。そのあと音を立てないように2拍手、最後に丁寧に一礼をします。
これを「ニ礼、ニ拍手、一礼」と言い、神式の儀式全てに用いられます。なお、音を立てずに拍手することを「「忍び手」と呼び、葬儀などの儀式に用いられます。
9.更に2〜3歩下がり神官・遺族に一礼してから向きをかえて元の席にもどります。
【玉串奉奠をもっと詳しく】

仏教以外の宗教の場合

キリスト教式 献花をする
 
1.用意されている花を、花が左になるように両手で受け取ります。
2.花を胸の高さで両手に持ち、献花台の前に進んで一礼します。
献花3.花が手前に来るように時計と逆に回し、両手で献花台に捧げます。(右図)
4.そのまま後ろに2〜3歩下がり、一礼をします。もしあなたがカトリック信者でしたら、十字を切ります。
遺族に一礼し、身体の向きを変えてもとの席にもどります。
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